日本車の中で、世界の車好きの記憶にとどまる名車は、残念ながら少ない。GT-RやホンダNSX、それにロードスターも間違いなく加わるが、頂点に輝くのは車自体の評価はともかくレクサスLFAだろう。
生産台数はわずか500台、日本での販売価格3750万円。10~12年にかけて販売された日本初のエキゾチックスポーツ、いわゆる「スーパーカー」だった。
販売終了後、後継車とも言われるLFAⅡの誕生を熱望するファンも多く、実際トヨタ内部でも検討されたことは間違いないし、方向性は異なるが、贅沢なラグジュアリースポーツとして、LF-LCを12年以降コンセプトカーとして提案してきた。
LF-LCが公開された当初は、レクサスSCの後継車との位置づけとして捉えられたこともあり、SCの進化モデルの上級スポーツとして登場するという認識だった。
そして、市販車が今年デトロイトショーでLC500、ジュネーブショーでハイブリッドのLC500hとして公表され、日本でも来年早々市販が開始されることになる。
エンジンはV8 5L、NA(500)とV6、3.5Lハイブリッド(500h)の2種類で、価格的には1000万円を超えるラグジュアリースポーツとなる予定だ。
しかし、トヨタとして、このレクサスブランドのスポーツ系フラッグシップとなるLCに、やはり「LFAⅡ」とも言うべきスポーツ性を与える、という情報がある。
このLC開発当初、LFA後継機の動きもあり、情報が錯綜していたものの、1時はLFA後継と予想された時期もあった。
総合的に見れば、やはりSCを上級に進化させたものというほうがわかりやすいが、今後トップレンジに高性能スポーツグレードを設定するのは想像に難くない。
実際、市販前からその動きが見える。すでにレクサスブランドのスポーツ系頂点に「F」があり、RC、GSにそれぞれ「F」はあるし、このLCをベースとした国内GT500用マシンも完成している。
最新情報では8月27~28日に鈴鹿で行われる第6戦で公開されるというが、LC500スポーツ性もアピールしてくるのだ。
現在、GT500にはレクサスRC Fが参戦しているが、エンジンは規定による2Lの直4エンジンのため、今後追加されることが予想されるLCもこのGT500では量産エンジンとは異なる。
しかし、LCの最強モデルとも言うべき、仮に「LCF」とするが、量産モデルのそのパワースペックがすごい。
実に600ps級と言われ、GT-Rを上回る数値。この驚異的なパワーを発揮するのは現在開発中のV8、4Lターボエンジン。トヨタのダウンサイジングターボで、V8、5L、NAエンジンに代わる次世代ターボだ。
トヨタは開発呼称943Fと呼ばれる3L、V6ターボの他、このV8、4Lターボも同様に開発中で、こちらはLSなどのV8、NAマシンに代わるたエンジンとして計画されているターボ。
LCFに搭載される4Lターボは標準のダウンサイジングターボに比べ、パワーは100ps以上高められ、600psに達するとみられ、これに組み合わされるミッションについては現時点で情報はないが、LFAに採用されたASG(オートメーテッドシーケンシャルギアボックス)ではなく、現行のRC Fに使われるアイシンの8速ATか、協力関係にあるBMWのスポーツモデルに採用される7速M DCTあたりも候補にあがる。
エンジン本体は、現行のV8、「UR」系ではなく、全く身開発となり、ある関係者は2Lターボの8AR-FTSを90度のバンクに2つ配置したV8とするようだと話し、部品の共有化を図るという。
8ARは燃費型で235ps。その4L版は標準型で450ps程度だから、LCF用のスポーツパッケージは相当強烈なパワーを誇ることになる。
LFAは、500台中、50台をニュルブルクリンクパッケージとして、エンジンパワーを580psとしたが、このLC Fではそれを上回り、まさに「LFAⅡ」とも呼べる性能を持つはずだ。
当然、このLC Fをベースとしたモータースポーツ専用車、GT3などの登場もほぼ間違いない。標準モデルのLC500が1000万円超だから、このLC Fは2000万円級となりそうだが、LFAの約半分の価格で日本最強の「スーパーカー」であることを考えると納得できる。登場はLCの登場の1年後、18年になるだろう。