17年4月から消費税10%を実施するとしたら、新車ディーラーは増税直前までの駆け込み需要が期待できた。それが延期になると、それを当て込んだ増版キャンペーンが活用できないので多少困るとの受け止め方をしている販売店は多い。
この時期に格安で車を購入することを考えていたユーザーにとっては活用できないので、そのチャンスを先延ばしせざるを得ないともいえる。ただ販売店の見方は「消費税引き上げと言ってもたったの2%にすぎないので延期になったとしても、影響度はそれほど大きくないのではないか」と言った違った見方をする営業担当者も目につく。
それより影響度が大きいのは日産、三菱、スズキの三社と傘下の販売店である。日産と三菱は、軽自動車の燃費不正問題が発覚し、デイズ、eKシリーズの4モデルが4月2日から生産、販売を中止している。この影響で三菱は軽自動車だけでなく、登録車も軒並み販売減に追い込まれている。日産の登録車は影響ないが、軽乗用車を売れない分、登録車のほうで一台でも多くをカバーしなければならない。そのため、日産は特別仕様車を中心に格安キャンペーンを展開していて、軒並み大幅値引きで買えるようになっている。
スズキは軽自動車の燃費の測定を国が定めたやり方と違う方法で行ったことが発覚し、国土交通省の立入検査を受けている。日産や三菱のように生産、販売を中止せず継続しているが、マイナスイメージが浸透し、軽自動車は売れ行き不振になっている。ただ購入するユーザーにとっては格安で買える状況にあるので買得とも言える。
【広告】
新型車スケジュールに変更はあるのか?
新型車の発表スケジュールの変更はメーカーによって格差がある。変更がありそうなのは日産、三菱、スズキの3社。こちらは消費税増税延期というより、排ガス測定不正の影響の方が大きい。
三菱、スズキについては今後、国土交通省は新型車の認可申請を強化するとしている。スズキは今年秋から年末にかけてワゴンRとスイフトのフルモデルチェンジ、ソリオにストロングハイブリッド車の追加を予定している。タイミング的には今、対象モデルの認可申請業務を進める時期であり、この作業がスムーズに進められない状況にある可能性がある。従ってこれら3モデルはいずれも数ヶ月遅らし、場合によっては来年に先送りすることになるかもしれない。
三菱は新型車の発売予定はないが、この時期は改良、仕様変更のイヤーモデルの発売をするのが恒例になっている。しかし、これが審査の強化によって先延ばしになるかもしれない。
トヨタ、ホンダ、マツダ、スバル、ダイハツの各社については新型車の投入が予定通りか多少早まる傾向にある。ただし、こちらは消費税増税の延期とはあまり関係ないかもしれない。特にマイナーチェンジ、一部改良、特別仕様車設定などの投入時期が予想よりも繰り上げられる傾向がある。トヨタのプリウスPHV、日産のセレナ、ホンダのフリードの次期型は販売店向けのセールスプロモートが早めに行われつつある。
新車の買い時はいつ?
新車の買い時は増税再延期決定前だと来年の2~3月だったが、再延期の正式決定によって、通常のセールに平準化されている。年内にフルモデルチェンジ、マイナーチェンジするマークX、セレナ、ノート、フリード、アクセラ、インプレッサ、スイフト、ワゴンRなどの主要モデルはこの7~9月が買い時と言える。その他は通常のセールがベストと言える。