グッドイヤーのSUV用スタッドレス、アイスナビSUVがデビューした。旧型のラングレーIP/Nは深雪や悪路走破性を考慮したコンセプトだったが、新型は舗装道路、圧雪路、凍結路を重視して新開発。ブランド名をアイスナビに刷新し、乗用車用スタッドレスのアイスナビ6から技術を継承して新世代SUVにふさわしい性能を目指した。
パターンデザインは前後左右のクロスローテーションが可能な点対称デザインを新採用。ショルダー部の基本デザインをアイスナビ6から継承する一方、センター部はSUVらしくZ字型の力強いブロックを配置した。接地面のブロック比率は旧型比19%アップ。氷上性能に重要なエッジ成分は同32%増加したという。サイプは複雑な形状でブロック剛性をアップするNAVIブレードを新搭載。ブロック部にエフィシェントホールと呼ぶ楕円の小穴を刻んでエッジ効果を徹底追求した。
コンパウンドはSUV用アクアフィラーを新配合した。アクアフィラーはポリマーとシリカの結合剤で、低温時の柔軟性を向上。氷上の細かい凹凸への密着効果を高める。撥水シリカの割合を増やしたことも新コンパウンドの特徴。スリップの要因となる氷上の水膜除去力をアップした。メーカーのテストでは、新たに搭載した技術の相乗効果によって氷上ブレーキ性能が旧型比22%向上したという。
アイスナビSUVに試乗すると、内部剛性やパターンブロックのしっかり感が伝わってくる。圧雪路では増加したエッジ成分が申し分のないグリップを発揮し、特にトラクション性能が心強い。直進安定性が良好で、雪の轍にもとられにくかった。雪が溶けはじめたザクザクのシャーベット路も走りやすい。比較的細身の接地形状が、雪をしっかり押しよけながら走る。
溝の比率はダウンしたが、センターブロックのジグザグ溝がシャーベットを適切にとらえるため、グリップを失わずに走破できる。舗装や凍結が入り交じる一般道も走ってみた。道路幅が狭く、対向車に気を使う場面でも安心感は高い。雪がフワッと乗ったツルツルの凍結路では、もう少しグリップが欲しいと思うシーンがあった。
ただし、すべり出しは分かりやすく、唐突ではない。前後と横のバランスがいいため、コントローラブルな性能を楽しむ余裕もある。湿雪、圧雪、深雪、凍結などと様々な状況を試したが、どれもそつなくこなす特性が印象に残った。ブロックや内部の剛性が高いので、今回試乗したアウディQ5やポルシェ・マカンといった高性能SUVとのマッチングもいい。車重やハイパワーに負けない剛性を備えている。アイスナビSUVは、大型車に装着しても腰砕け感がなく、スポーティな走りに応えるスタッドレスだ。
アイスナビSUVセールスポイント
- SUV専用スタッドレス
- 新素材でゴムの柔軟性アップ
- エッジ成分を追求したトレッド
- タイヤ内部の剛性が高い
【お手軽雪道対策】