科学化学製品や農業製品、自動車用塗料など総合化学メーカーのBASF(本社ドイツ)は8月、2015~16年における車のカラートレンド予測を東京都内で発表した。塗料を扱うBASFのコーティングス事業部グローバルデザインチームの調査・研究成果によると、「2~3年後のアジア太平洋地域においてはブルーのバリエーションが流行する」という予測だ。車のボディーカラーに関する好みは、地域によって異なる。
BASFは北米地域、欧州地域、アジア太平洋地域に分けて、カラーの流行を予測。新車市場が成熟段階に入った日本と、新興国ではボディカラーに関する好みが異なるし、文化的な背景などでカラーに対する基本的なイメージは異なる。例えば、「今欧州ではホワイトパールが人気なっているが、もともとホワイトは不人気だった。これまで欧州ではホワイトは、色がない、と認識されてきた」。そうした難しい条件を考慮した上で、アジア太平洋地域のユーザーの関心は、今この時代にいかに満足しているかという点にあると分析。
特に新興市場においては、車のボディカラーは自分らしさを表現するカギとして重視されるといい、あざやかなオレンジや強い色合いの青紫はユーザーの自信を反映するカラーとして好まれる、とデザイナーは語る。アジアで人気の高いコンパクトカーや小型SUVに、これらのカラーが使われるのではないかと指摘している。特にインドでは青が主流になるという。消費社会が拡大した中国のユーザーは生活の質をキーワードに、豊かな暮らしを求める傾向にある。スタイリッシュなデザインと洗練されたカラーが今後の中国で人気になり、ワインレッドの様なクラシックカラーが若者に好まれると推定している。
日本は気に入ったものを購入する市場という点で欧州や北米に近い。カラフルなKカーやコンパクトカーの人気が高いため、今後は楽しいカラーが注目を集めるとデザイナーは分析。ピンクや水色などの中間色が多い点は、日本の特質である。世界全体の傾向としては、先進技術や未来技術を取り込んだ製品に自然の風合いをいかしたカラーが新しいトレンドになる、とデザイナーたちは見ている。
これまでガンメタや輝度の高いシルバーが好まれた製品群についても、グリーンやブルーなどのニュアンスを取り入れる要望が高まるという予測である。ここでもブルーを上手に反映させることが重要なポイントになっている。BASFが日本国内で実施したユーザー調査によると、次に購入したいクルマの候補としてハイブリッド車をあげる声が多いという。環境に配慮した製品という特徴をアピールする上でデザイナーたちは明るいグリーンや水をイメージさせるブルーに注目している。また次期購入車のボディカラー候補としてはブルー系を上げる回答が18%でホワイトを押さえてトップだった。