新型ジャガーXEは昨年8月、欧州デビュー。そして約1年遅れて日本販売がスタートした。ライバルはBMW3シリーズやメルセデスベンツCクラスなどである。
新型XEはプレミアムセダン市場で最も競争の激しいセグメントに導入されたニューモデルである。このクラスにはメルセデスベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4、レクサスISなど魅力的なライバルがズラリと揃う。XEの注目点は新開発のアルミモノコックボディである。
ジャガーは2003年発売のX350系XJで初めてアルミモノコック技術を使用。これがいよいよDセグメントのXEにまで拡大された。ルックスは4ドアセダンとして正統派だ。際立ったスポーティテイストや華やかな特徴はないが、競合車には各メーカーの看板モデルが多いだけに、リスキーなチャレンジは避けたかったのかもしれない。しかし、ボディカラーの選択しだいでXEは華やかになる。インテリアはモダンながら落ち着いたデザイン。派手とか過剰といった印象は一切無い。キャビンは、控えめなトリムカラーをえらべばビジネスシーンにふさわしい雰囲気になるし、ユーザーの好みで華やかにも演出できる。新型XEで何よりも強くひかれた点は素晴らしい走り味や乗り味である。スポーツサルーン作りの老舗ジャガーの実力が余すところなく発揮されている。
日本仕様のパワートレーンはガソリンが2L直4直噴ターボと3L・V6スーパーチャージャー、ディーゼルは2L直4直噴ターボが設定され、ミッションは全車8速AT。試乗したポートフォリオはガソリンターボの240ps/34.7kgm仕様が搭載されていた。最新の技術を満載した直噴ターボは気持よく回り、幅広い回転域で分厚いトルクを発揮する。その太いトルクを8速ATが、走行状況に応じてたくみに使いこなす。ポートフォリオの走りは、「どんな領域でも、なめらかで力強い」といった表現がふさわしい。実に心地よい走り味である。
さらに素晴らしい点がハンドリングでありフットワークだ。電動パワステの操舵力は軽めに設定されているが、手ごたえはしっかりしている。インフォメーションも適切。ワインディングロードでの身のこなしは素直で懐がふかく、いくらでも追い込めるといった自信をドライバーに与えてくれる。そして実際に追い込んで行ける。コーナリング中の不整もしなやかにパスしてくれるし、ブレーキングを残したコーナーへのアプローチも自在だ。XEは間違いなく本物のスポーツサルーンでありジャガーの伝統を継承するモデルだ。