現在、国産で本格スポーツ4WDとよべる車はわずか7台という状態になってしまっている。そのスポーツ4WD車たちも、直結4WDや単純に機械式LSDを組み込んだセンターデフ式フルタイム4WDシステムの車は絶滅してしまっている。今、時代を引っ張るのは、電子制御カップリング式のアクティブオンデマンド4WDだ。
ひとくくりにアクティブオンデマンド4WDと言っても、エンジンやブレーキ等との協調制御をどうするか各社の個性がある。個々の車両を比較してみよう。
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日産GT-R アクティブオンデマンド4WD
リアにトランスミッションを配置したトランスアクスルを採用しそこから後輪と前輪へ駆動トルクを分配する。基本は0対100~50対50の前後駆動トルク配分を持つFRベースの4WDシステム=アテーサE-TSを採用。
ウエット路面で走らせると分かりやすいが、積極的に前輪へ駆動トルクを配分しようとした安定志向のセッティングで、狙いは巨大なパワーとトルクをいかに路面に伝えるかにある。
●GT-R Premium edition 諸元表
・全長×全幅×全高:4670×1895×1370mm
・ホイールベース:2780mm
・車重:1740kg
・エンジン:V6ツインターボ、3799cc
・最大出力:550ps/6400rpm
・最大トルク:64.5kgm/3200-5800rpm
・トランスミッション:DCT
・JC08モード燃費:8.7km/L
・4WDシステム:アテーサE-TS
・価格:1058万7240円
日産ジューク 16GT FOUR アクティブオンデマンド4WD
リアデファレンシャル直前にクラッチを設け、リアデフに左右トルクスプリット機構をつけた4WDシステム。100対0~50対50の間で前後駆動トルク配分を変化させられるのに加え、リアの左右駆動トルク配分によって旋回のアシストを行う。
SUVという車のキャラクターもあって、多少腰高感があり、動きにスポーツカー的なシャープさは強く感じないが、グイグイ曲がる不思議な旋回感は面白い。
●ジューク16GT FOUR 諸元表
・全長×全幅×全高:4135×1765×1570mm
・ホイールベース:2530mm
・車重:1390kg
・エンジン:直4直噴ターボ、31618cc
・最大出力:190ps/5600rpm
・最大トルク:24.5kgm/1600-5200rpm
・トランスミッション:エクストロニックCVT
・JC08モード燃費:13.4km/L
・4WDシステム:ALL MODE 4×4-i
・価格:270万円
日産ジュークNISMO/NISMO RS アクティブオンデマンド4WD
ボディ各所が補強され、足回りもオンロードでの走りの面白さを念頭にチューニングされたため、グッとスポーツカー的なテイストを身につけた。4WDシステムは4×4-i(トルクベクトル付)で、ジューク16GTと同じだが、足回りがよりスポーティにチューニングされているのに加え、RSはトルクベクタリングの効きをさらに強め、旋回性能をアップ。ボディがしっかりした分よく曲がり、スポーツカー的な面白さが増している。
●ジュークNISMO RS 諸元表
・全長×全幅×全高:4165×1770×1570mm
・ホイールベース:2530mm
・車重:1410kg
・エンジン:直4直噴ターボ、1618cc
・最大出力:214ps/6000rpm
・最大トルク:25.5kgm/2400-6000rpm
・トランスミッション:エクストロニックCVT
・JC08モード燃費:13.4km/L
・4WDシステム:ALL MODE 4×4-i
・価格:346万8960円
スバル WRX STI センターデフ式フルタイム4WD
25年間積み上げてきたスポーツ性能は揺るぎない。4WDシステムは前後41対59の前後付近等トルク配分の電子制御DCCD(ドライバーコントロールセンターデフ)に加えフロントデフにヘリカルLSD、リアデフにもトルセンLSDを装備しているのが特徴。あらゆる路面状況で安定した駆動トルクが発揮でき、しかも速い旋回が可能なようにセッティングされている。優れたバランスの上に成り立っている。
●WRX STI 諸元表
・全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1480kg
・エンジン:水平対向4気筒ターボ、1994cc
・最大出力:308ps/6400rpm
・最大トルク:43.0kgm/4400rpm
・トランスミッション:6MT
・JC08モード燃費:9.4km/L
・4WDシステム:マルチモードDCCD式AWD
・価格:379万800円
スバル WRX S4 アクティブオンデマン4WD
S4に採用されているのはVTD-AWDと呼ばれる不均等&可変トルク配分電子制御AWD。基本駆動トルク配分は45対55で、そこから50対50までの範囲でトルク配分を行う。
基本駆動トルク配分がわずかだがリア寄りなこともあって、旋回性が良いのが特徴。旋回中にハンドルを切り足すような場面でもハンドルが効く。そのためコーナーでの自由度が高く、よく曲がってくれる4WDに仕上がっている。
●WRX S4 諸元表
・全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1540kg
・エンジン:水平対向4気筒ターボ、1998cc
・最大出力:300ps/5600rpm
・最大トルク:40.8kgm/2000~4800rpm
・トランスミッション:スポーツリニアトロニック
・JC08モード燃費:13.2km/L
・4WDシステム:VTD-AWD
・価格:334万8000円
スバルレヴォーグ1.6ターボ アクティブオンデマンド4WD
アクティブトルクスプリットAWDを採用する。これは基本駆動トルク配分が60対40になっており、走行状況に合わせて電子制御で50対50までの範囲で駆動トルク配分をコントロールする。スポーツドライブを試みなければ、不満はない。限界領域で多少曲がりにくい印象はあるが、1.6Lターボエンジンとの相性は良い。組み合わされるCVTもエンジンの鼓動が感じにくいが。おだやかなエンジン特性との相性が良い。
●レヴォーグ1.6GT 諸元表
・全長×全幅×全高:4690×1780×1485mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1530kg
・エンジン:水平対向4気筒ターボ、1599cc
・最大出力:170ps/4800-5600rpm
・最大トルク:25.5kgm/1800-4800rpm
・トランスミッション:リニアトロニック
・JC08モード燃費:17.6km/L
・4WDシステム:アクティブトルクスプリットAWD
・価格:277万5600円
スバルレヴォーグ2.0ターボ アクティブオンデマンド4WD
4WDシステムはS4と同じ。フロアバンも共通でいわばS4ワゴンバージョン。重量バランスがよく、リア回りの剛性感もしっかりしており操縦性の面でS4に劣る印象はない。足回りは少々硬くスパルタンな乗り味だが、4WDの駆動システムからくる曲がりにくさはない。CVTは様々なCVTの中ではよくできているが。エンジンの存在感があり、パワーもトルクも強力なだけにATあるいはMTの設定がほしいところ。
●レヴォーグ2.0GT 諸元表
・全長×全幅×全高:4690×1780×1485mm
・ホイールベース:2650mm
・車重:1550kg
・エンジン:水平対向4気筒ターボ、1998cc
・最大出力:300ps/5600rpm
・最大トルク:40.8kgm/2000~4800rpm
・トランスミッション:スポーツリニアトロニック
・JC08モード燃費:13.2km/L
・4WDシステム:VTD-AWD
・価格:334万8000円
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