モジューロはホンダアクセスが手がけるホンダ純正アクセサリーブランドの一つ。しかも、走る、曲がる、止まる、という機能装備に特化したブランドだ。それらを手がけるのは本田技研研究所のエンジニアやデザイナーであり、市販車と同じ安全基準で開発されている。
まずは今回特に開発に力を入れたというアルミホイールから。フロント8種類リア12種類もの試作品を作り組み合わせを模索したというこだわりようだ。軽さと剛性を高次元で保つのはもちろん、ホイールをS660のサスペンションの一部ととらえさらに剛性バランスを追求しているという。標準ホイールに対し3.5kgほど軽いモジューロのホイールを装着したベースクルマのフットワークはやや軽く、しかも路面の凹凸に対するゴツゴツ感が軽減している。足回り交換した仕様の効果はさらに明らかだ。ゆっくりと走り始めた直後からフラットでスッキリとした乗り心地が実感できた。群馬サイクルスポーツセンターは路面の荒れ具合やギャップ、アンジュレーションが豊富で手強く、足回りのよしあしを感じるのにはむしろ好都合と言える。
ところで今回最も好感触が得られたのはブレーキのフィーリングだ。コーナー進入前の、強めの一発のしっくり感から進入に合わせてつま先でコントロールしつつ詰めていく際のシットリ&リニアさが頼もしくて楽しい。バッドとローターのフィーリングとそれをうまくタイヤに伝える足回り、そしてタイヤの総合力のたまもの。はたして、走りの質を高める効用は足回りの交換で十分に感じられる。
最後はエアロパーツをまとったフルパッケージ仕様。ペースをあげたくなる気持ちを抑えるのが大変だった。足回りだけでも多くのコーナーや直線での接地感が乗り心地の良さとともに向上しているのにくわえ、不安定な路面の中~高速コーナーの安定感が増す。路面の不均一な中速コーナーでステアリング操舵の手応えが先ほどよりも少し重たく感じる。それだけタイヤがちゃんと設置しグリップ力を発揮しているということなのだ。
S660のコンパクトさを武器にしているとすら思える運動性能の高さ、運転のたのしさは本当に魅力的だと思う。一方でモデューロ。日常+αの走りの質を高めるというセットアップコンセプトに親近感を抱く。S660の走りの質を高め一層コントローラブルなモデルに仕上げる価値もよくわかった。