現行三代目のプリウスは、全車(プリウスαの7人乗りのみリチウムイオン採用)で動力用電池として、ニッケル水素バッテリーを採用していた。ところが、新型のプリウスでは、従来までのニッケル水素にくわえ、新たにリチウムイオンバッテリー採用グレードも設定してきたのだ。
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新型プリウス グレードと採用バッテリー
グレード | 駆動方式 | バッテリー | JC08モード燃費(km/L) |
E | FF | リチウムイオン | 40.0 |
S
|
FF | ニッケル水素 | 37.0 |
4WD | 35.0 | ||
Sツーリングセレクション
|
FF | ニッケル水素 | 37.0 |
4WD | 35.0 | ||
A
|
FF | リチウムイオン | 37.0 |
4WD | ニッケル水素 | 35.0 | |
Aツーリングセレクション
|
FF | リチウムイオン | 37.0 |
4WD | ニッケル水素 | 35.0 | |
Aプレミアム
|
FF | リチウムイオン | 37.0 |
4WD | ニッケル水素 | 35.0 | |
Aプレミアム
ツーリングセレクション |
FF | リチウムイオン | 37.0 |
4WD | ニッケル水素 | 35.0 |
そこで今回のテーマは「なぜプリウスは2つのバッテリーを設定しているのか」である。現在、HVやEVのバッテリーとして、主流がリチウムイオンバッテリーであることはご存知の通り。トヨタ以外のメーカーで、ニッケル水素バッテリーを採用している現行車はホンダフリードHVのみ。i-DCDのフィットHVなどはもとより、IMAのCR-Zもマイナーチェンジでリチウムイオンバッテリー搭載に変更されている。
さらには、スズキのエネチャージもリチウムイオンバッテリーを採用。各バッテリーの特長を紹介しているが、これはスズキの回答によるもの。昨今の流れを見るに、多くのメーカーがニッケル水素バッテリーよりもリチウムイオンバッテリーのメリットを評価していることは明らかだ。
各バッテリーの特長はどう違う?
重量あたりのエネルギー密度(軽量) | 体積あたりのエネルギー密度(コンパクト) | 重量あたりの入力密度(素早く沢山回生) | 総合判定 | |
リチウムイオン | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
ニッケル水素 | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
鉛 | ◯ | ◯ | ☓ | △ |
リチウムイオン新設定の理由は
では、なぜトヨタはこれまで、ニッケル水素にこだわり、そして今回の新型プリウスで初めて本格的にリチウムイオンバッテリー搭載に踏み切ったのか?その答えは、プリウスに必要な電池容量がニッケル水素電池で十分対応できたことと価格が高いため。
一つ大きな問題としてはコスト。では何故新型ではリチウムイオンとニッケル水素が並立しているのだろうか?その答えは、リチウムイオンは今後さらに進化が期待できる電池であり、一方ニッケル水素は従来培ってきた実績の上にまだまだ進化の余地があると考えており、新型プリウスでは、ニッケル、リチウムともに性能、小型化を大幅に向上させ、同等の性能を実現しているため、ということ。
ニッケル水素を売り続けるわけ
まず、なぜ新型プリウスで本格的にリチウムイオンバッテリーを採用したか。これは市販車においても信頼性が確保出来たからだろう。にもかかわらずニッケル水素グレードを設定している理由は、
①ニッケル水素バッテリーの蓄電効率が向上しているため
②製造ラインの問題
③リコール対応のリスク
④ニッケル水素を取り巻く産業的な問題
この4つだろう。
ではこの先トヨタはどんなバッテリー戦略を採っていくのだろうか。トヨタの姿勢を見ていると、ニッケル水素バッテリーの採用をなくしていくという可能性は短期的に見ればかなり低いだろう。ただ一方でこれだけ台数の出る基幹車種のプリウスにリチウムイオンバッテリーを採用したという事は、今後、他の車種にも展開していく可能性は十分ある。
とすれば、考えられるのは、車種によるすみ分け。比較的上級のHVにはリチウムイオンバッテリーを使い、大衆車にはニッケル水素で対応するなどの戦略だ。新型プリウスがリチウムイオンバッテリー搭載に踏み切ったのは、膨大な台数が見込まれるプリウスでも信頼性の問題を十二分に担保できると確信したから。それでもニッケル水素を残すのは、ニッケル水素自体にもまだ進化の余地があり、製造ラインやコスト的なメリットがあるからだろう。