スイフトスポーツのエンジンは1.6Lで最高出力は136ps。CVTのほかに6速MTを用意し、ショックアブソーバーはテネコ製になる。
対するスイフトRSは、特別仕様車の位置づけでエンジンは1.2Lで最高出力は91psにとどまり、CVTと5速MTを用意する。ショックアブソーバーは欧州仕様と同じ設定で、減衰力はベース車のXGよりも少し高い。
動力性能なら当然スポーツが上回るが、運転する楽しさなら断然RS。実用トルクを重視したエンジンを高回転域まで回し、性能をフルに出し切る醍醐味を味わえる。
RSが搭載する5速MTのギア比はXGと同じだが、これも絶妙で峠道に最適。スポーツは動力性能が高く、小刻みな変速をしなくても相応に走れるが、少し非力なRSでは的確な操作が求められる。ドライバーの技量でパワー不足を補う運転も実に楽しい。
カーブを曲がる時も同様だ。スポーツは専門の足回りに17インチタイヤを装着するから旋回性能が高い。後輪の接地性も優れている。
その点、RSのタイヤは16インチで、旋回時のボディの傾き方も欧州仕様の足回りを備えながらスポーツよりは大きくなっている。
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RSを楽しむコツは
RSを楽しむコツは、この足回りの特徴を利用することだ。コーナーに入る手前の減速タイミングを少し遅らせると、RSでは車両の向きが素直に変わる。旋回途中でアクセルペダルを少し戻して、後輪を緩やかに横滑りさせる運転もしやすい。
つまり安定性がスポーツよりも低いわけだが、ドライバーがコントロールできる領域は広い。旋回速度はスポーツを下回ってもハンドル/アクセル/ブレーキの操作を連係させると、車両の向きを自由自在に変えられる。この楽しさはRSならではだ。
重量をMT同士で比べるとRSが80kg軽い。この違いもRSのコントロール性を高めている。RSを運転すると、スターレットSi、シャレード・デ・トマソといった80~90年代のコンパクトカーを思い出す。
当時の車はボディ剛性、タイヤのグリップ力、エンジン性能などは低かったが、荷重移動を使って積極的に曲がり、常識的な速度でもエンジン性能をフルに引き出せた。
この運転感覚を現代に蘇らせたのがRSだ。初心者を含めて楽しく遊べる。
- スイフトスポーツの1.6LDOHCは136psを発揮し、スポーツモデルらしい走りを味わえる。動力性能は当然RSを上回っている。価格は172万8千~179万8200円。
- スイフトRSの1.2Lエンジンは91psと非力ながら、実用トルクを駆使し、エンジン性能をフルに出し切る運転の醍醐味はこちらが上か。価格は148万1760~178万6320円。