日本でもSUVが人気だが、欧州メーカーの華やかな新車投入に比べると、物足りない。しかし、今年から来年にかけて、サイズもパワーユニットも、さまざまなバラエティに富んだモデルが登場してくる。注目車を追った。
ポルシェがカイエンをヒットさせて以来、世界中の高級ブランドが本気でSUVを開発している。ロールスロイスがカリナンを、マセラッティはレヴァンテを、ジャガーはFーPaceをというふうに高級ブランドはセダン以上に力を入れ、業績はSUVモデルの出来に掛かっているといっても過言ではない。ポルシェカイエンがなぜ大ヒットしたかといえば、SUVなのに中身はしっかりとポルシェ、スポーツカーと遜色ないという驚きがあったからだ。高級ブランドから生まれるSUVには、高級感とともにそんな驚きが必要となるのだろう。
もう1つの世界の潮流としてコンパクトSUVのヒットが挙げられる。ポルシェのマカン、メルセデスベンツのGLA、BMWX1、アウディーQ3が日本でも人気になっているのは周知の通りだ。これらはプラットフォームをセダンと共有できることや、居住空間が広いこと、何よりもデザインを個性的とすることで人気となっている。国産メーカーも世界規模で見れば、最も期待できるのがSUVであることは間違いない。当然世界を意識したSUVの開発が行われることになる。各メーカーで期待されているモデルをチェックしていこう。
●HONDA CR-VはPHVになる!
日本ではもう1つ人気のないCR-Vだが、北米でも欧州でも人気となっており、屋台骨を支えるモデルといえる。そのフルモデルチェンジは来年末と予想されるが、どうやら北米はPHVモデルを投入することになり、日本での発売が期待できる。
北米最大のマーケットであるカリフォルニア州はZEV規制を導入している。排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車のことをZEV(ゼロエミッションヴィークル)と呼ぶが、カリフォルニア州で年間6万台以上販売するGM、フォード、クライスラー、トヨタ、日産、ホンダの6社は販売台数の一定比率(現在は14%)をZEVにしなければならないと定められている。基準に達しないメーカーは1台5000ドルもの罰金を払うか、余裕のあるメーカーからZEV排出枠を購入しなければならないという厳しいものだ。
そして2017年からHVがZEVの対象外になる。トヨタがMIRAIを開発し、ホンダもFCVの開発を急ぐ理由だ。HVが除外されると、その技術が応用できるPHVに注目が集まる。PHVはZEVと認められ、EVやFCVほど大きくはないが、排出枠のポイントを加算することができる。そういった事情から、次期CR-VはPHVとなることが有力だ。搭載されるパワートレーンはおそらくアコードPHVと同じ2Lエンジンと2モーターを組み合わせたものになるだろう。そうなると、すでにアウトランダーPHEVが受け入れられている日本で販売しない手はない。
もともと居住性が良いモデルだけにPHVとなればCR-Vの魅力が活きるはずだ。ちなみにアコードPHVのEV走行距離は37.6kmだが、アウトランダーPHEVのそれは60.8kmだから、それを超えられるか注目だ。
○輸入SUVが人気だ。ポルシェマカン、メルセデスベンツGLA、ルノーキャプチャーなどがよく売れているうえに、メルセデスベンツGLEやシトロエン・カクタスが年内に日本発売となりそう。メルセデスはGLCというミドルクラスのSUVをドイツ本国で9月に発売するから来年には日本発売となるはず。また、BMWX2、アウディTTのSUV、ジャガーやマセラッティのSUVも開発中と世界中でSUVが大人気となっているのだ。
○ホンダCR-Vは来年末デビュー
2011年に現行モデルが発売になっており、来年末には5代目に生まれ変わる予定。欧州はディーゼル中心だが、北米はカリフォルニアのZEV規制もあってPHV化されることが有力。アウトランダーPHEVのライバルとして日本でもPHVモデルが投入されるはずだ。