伝統のV12+4人乗り+全輪駆動=FF
F12ベルリネッタからちょうど一年前のジュネーブ国際モーターショーでフェラーリが世界に披露したのがFFだった。ひとつのFは四輪駆動、もう一つのFは4人乗り、という意味。だから「エフ・エフ」と読むよりは「フォー・フォー」と読む方がしっくりくる。
フェラーリというと12気筒+ベルリネッタ(2人乗りクーペ)と、V8の2シーターモデルをイメージするかもしれない。が、実は12気筒エンジン+4人というパッケージもずっと大切にしてきた。フェラーリFFはそんな「牙城」の一角を占める4人乗りモデルの最新の進化バージョンだ。
デザインはピニンファリーナ。フロントから見ても、リアにまわっても、デザインは最近のフェラーリに共通する顔をしている。しかし真横からながめた時にフラットめで長いルーフラインが、そのまま4人乗車した時の快適性をたやすく想像させる。
これまでの4人乗りモデルがクーペらしいボディラインをキープしていて、特にリアシートの居住性では、今ひとつといった感じだったのに対して、FFはリアに大人が乗車しても頭上に圧迫感を感じない。足の置き場や膝前のスペースも及第点以上。後席の乗り降りの際に多少の窮屈さはあるものの、コンパクトカーの2ドア車に比べれば、車格の大きなFFは、はるかに楽だ。
最高速は335km/h、トランク容量は450L
フェラーリFFの積む6262cc、65度V12気筒は、660ps/8000rpm、69.6kgm/6000rpmを発生する。公表されている走行データは、最高速度が335km/h、0→100km/hは3.7秒、0→200km/hが11.5秒。100km燃費は15.4L。これだけで考えれば「環境性能も悪くないスーパースポーツ」という感じだ。
もちろんその気になれば、別格の速さはあるが、実際には長距離を余裕あるパワーで楽々とこなすグランドツーリングと言った方が、フェラーリFFの正しい姿だ。
4人家族が車で旅行なんてシチュエーションでも、フェラーリFFなら快適な旅ができそうだ。その中に衣装の多い女性がいたとしても、450Lもあるラゲッジスペースなら、誰かが不満を漏らすこともない。
フェラーリ・フォー
全長☓全幅☓全高(mm) | 4907☓1953☓1379 |
ホイールベース(mm) | 2990 |
車重(kg) | 1790 |
エンジン | V12 DOHC 6262cc |
最高出力(ps/rpm) | 660/8000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 69.6/6000 |
ミッション/駆動方式 | 7速DCT |
最高速度(km/h) | 335 |
0→100km/h(秒) | 3.7 |
価格 | 3290万円 |