フェラーリにはスタンダードモデルとは別に「特別なモデル」という意味のスペチアーレと呼ばれる系譜の車たちがある。
フェラーリF40はスペチアーレの1台であり、フェラーリ社40周年を記念するモデルでもある。また結果的にフェラーリ社の祖、エンツォ・フェラーリが手がけた最後の車になった。1987年7月21日にフェラーリの本拠、マラネロで開かれたF40のお披露目には御大エンツォも出席。華々しく、堂々たるスペチアーレのデビューだった。
ところでF40にフェラーリがつけた価格は25万USドル。当時のレートで日本円ならおよそ3250万円ほどだった。それでも全世界から注文が殺到した。フェラーリ側には400台という製造予定数もあったと言う。が、最終的には1351台もの、スペチアーレとしては異例の大量生産になってしまった。フェラーリはF40での経験を活かし、後続のスペチアーレでは、徹底した受注管理を行うことになる。
その一方で、F40は当時、優秀な動産として、フェラーリの決めた定価を全く無視した高騰劇に巻き込まれた。日本でもとんでもない値段をつけ、ピーク時には2億円とも3億円とも言われる高値で取引された。
エンツォ・フェラーリがF40の開発にあたって決めたコンセプトは「そのままでレースに出られる市販車」ということ。当時のフェラーリF1ドライバーもF40の開発に関わっている。
メインは従来のスペースフレーム構造だが、当時、最新のカーボン技術をふんだんに採り入れ、徹底的な軽量化が進められた結果、総重量は約1.1tに抑えられている。
エンジンは2936ccv型8気筒DOHC+ツインターボ。478ps/7000rpm、58.8kgm/4000rpmを発生し、公表された最高速度は、当時、史上最速の324km/h。
エクステリア同様に、インテリアも走り優先のレーシーな仕上がり。数億円もの値をつけた超高額な車とは思えない。しかし、そこがいい。F40からは、リアルなレーシングマシンなどのLMなど、走りに特化したモデルも派生している。
1989 フェラーリ F40
全長☓全幅☓全高(mm) | 4430☓1980☓1130 |
ホイールベース(mm) | 2450 |
車両重量(kg) | 1100 |
エンジン | V8 DOHC+ツインターボ2936cc |
最高出力(ps/rpm) | 478/7000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 58.8/4000 |
ミッション | 5速MT |
最高速度(km/h) | 324 |
0→100km/h加速 | 4.1秒 |
価格(当時) | 25万USドル 当時のレート1ドル130円で3250万円 |