フェラーリF12ベルリネッタ

フェラーリ史上最強のベルリネッタ

F12ベルリネッタのワールドプレミアは2012年2月末のジュネーブ国際モーターショーだった。従来どおりピニンファリーナが携わったF12ベルリネッタのデザインは、先代のフラッグシップモデルの599フィオラノに比べてずいぶんと引きしまった。と言ってもスリムになったのではなく「細マッチョ」といった感じで、フェラーリのフラッグシップらしいオーラは相変わらずキープている。

実際にサイズは599フィオラノに比べて一回り小さい。しかも新素材を多用し、高いボディー剛性を保ちながら先代よりも200kgほどの軽量化を果たしている。そんなF12ベルリネッタが搭載するのは、6262ccの65度V12気筒エンジン。最高出力は740ps/8250rpmという圧倒的な出力を発生する。ちなみに最大トルクは70.4kgm/6000rpmだ。

ミッションはF12ベルリネッタ用にアレンジされた最新の7速F1マチック。制御系も充実させ、さらにフロント398mm、リア360mmカーボンセラミックブレーキを採用している。参考までに公表されているデータを記載しておくと最高速は340km/h、0→100km/hが3.1秒、0→200km/hは8.5秒。100km燃費は15.0Lを達成している。

普段使いが可能なレーシングカー

日本仕様のF12ベルリネッタはカーボンエンジンカバーやフロントサスペンションのリフトシステム、パーキングカメラなどが標準となるが、F12ベルリネッタで言えば3層塗装の深みのあるレッドのボディカラーをはじめ、「生成りの革」という意味のクオイオと呼ばれるライトブラウンレザーのインテリアも、カーボンベースにクオイオのレザーを張ったカーボンファイバーレーシングシートなどはオプションだ。

正式には「カロッツェリア・スカリエッティ・パーソナライゼーションプログラム」という多彩なカスタマイズプログラムを利用して、例えばシートのステッチの色の一色からカスタマイズできるのが、フェラーリの魅力だ。

強烈な走行性能を誇りながら、大人しく走ろうとおもえば限りなく普通の車としても使えるF12ベルリネッタは、もはや特別な瞬間だけに乗るクルマではない。事実、通勤などで日常に距離を重ねているオーナーもいるほどで、だからこそパーソナライゼーションで自分だけのオリジナリティを出すことは必要なことだ。もちろん走れる環境では、現時点で世界屈指の速さを誇るスーパーカー。それも真実だ。

フェラーリF12ベルリネッタ主要諸元