GT-Rの進化は「深化」である。チーフ・プロダクト・スペシャリスの田村氏はGT-R2017モデルを説明するにあたりそう表現した。
日産GT-Rは2007年10月の発表以来8年、毎年毎年細部を改良し、着実に進化を続けてきた。その進化の変遷で内外装についてはこれまで「大きな」変更はなかった。
エクステリアの変化と言えば、2010年11月7日に実施された「2011年モデル」に際し、バンパー及びフロントグリル開口部の大型化と共にフロントバンパーにLEDデイライトをビルトイン。また、二段整流フィンを盛り込んだデザインとすることで、フロントマスクの表情をリファインしているものの、けっして大きな変更ではなかった。またこのとき同時にリアバンパーにエアアウトレットを新設するなど形状も少変更。マフラーの熱を抜くとともにリアダウンフォースを10%増加するなど、機能重視の変更であった。Cd値は0.27へと向上した。
今年3月23日のニューヨークショープレスデーでの公開に続いて4月1日、横浜の日産グローバル本社ギャラリーにおいて日本国内で2017年モデルが公開された。実際に車両を目にすると、バンパー両端部に逆台形の開口部(実際には穴が開いておらず蓋がされている)が設けられ、ここにLED式デイライトがビルトインされるのだが、フロントグリルデザインの変更と相まって特にフロントマスクは大きく印象を一新した。また、バンパー下部には小さいながらもカナード形状のリップスポイラーが装着されており、ダウンフォースの増加に一役かっている。
またサイドシルもこれまで直線的だったものから前方が張り出す形状となっており、これがも空力性能を追求した結果のデザインだと言う。
エンジンについては467ld-ftと公表されており、換算すると64.5kgmとなるが実際には0.5kgm程度アップしているとのこと。最高出力はこれまでの550psから20ps引き上げられた565hp(約570ps)となり、発生回転も400rpm引き上げられた6800rpmとなっている。新たに気筒別点火時期制御が採用されたことでより緻密な燃焼コントロールが可能となり、実走行燃費も改善されるはず。
インテリアではモニター画面が従来の7インチから8インチに大型化され、また、カーボン製のセンターコンソールにITコマンダーを配置した事で、ドライビングポジションのままモニター操作が可能となるなど、使い勝手の向上が図られた。パドルシフトはこれまでステアコラムに配置され、ステアリングの回転とは無関係に常に同じ位置にあったものが今回ステアリングホイール側に移設。このあたり操作性については好みの問題もあり、どちらが使いやすいかは賛否両論あろう。
この他、ボディ剛性のさらなる向上なども併せて実施されており、2016年モデルがなかった分、その進化の幅が大きい。