JC08モード燃費は2011年4月1日以降に型式認定を受けた車から義務付けられたが、2018年10月からWLTPという新燃費測定モードに変更される。
WLTPとは「ワールドハーモナイズド・ライトビーグル・テスト・プロシージャ」の頭文字をとったもので、各国バラバラだった燃費測定モードを統一する世界共通の燃費規格である。
ご存知の通り、カタログ燃費のJC08モード燃費と実燃費との乖離が大きく、実燃費が3~4割悪いというのもザラだ。
WLTPを分かりやすく言えば、この乖離が少なくなり平均速度がアップし、より高い速度域をカバーすることになる。走行時間や総走行距離も増加し、欧米の実用モードに近づいた規格となる。
JC08モードと大きく異なるのは、測定方式が最高速度に応じて4つのフェーズに分かれていることだ。具体的には、
- 60km/hまでの低速走行(市街地を想定)
- 80km/hまでの中速走行(郊外などを想定)
- 100km/hまでの高速走行(高速道路などを想定)
- 130km/hの超高速走行(高速道路などを想定)
このうち、4、の超高速走行の導入は、国によって任意の選択ができるようになっており、日本は走行実態を踏まえて除外された。
つまり、市街地想定など3つの速度フェーズで燃費を測定、それぞれの燃費は3つのフェーズの平均燃費が示される。
さらに、平均速度は24.41km/h→36.57km/h、最高速度は81.6km/h→97.7km/hへと向上。アイドリング時間も29.7%→15.4%に減少、JC08モードでは25%だったコールドスタート比率がWLTPでは100%となっている。
経済産業省の検証資料にも記載されているが、WLTPは停車時間(アイドリング時間)が減るため、JC08モード燃費値で有利なアイドリングストップ機能を搭載した車両やハイブリッド車両ほど大きく影響する。
また試験車両の等価慣性重量が実重量となるため、境界ギリギリの軽い区分に滑り込む車両があったが、WLTPでは通用しなくなる。
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新燃費表示のイメージ
現行(JC08モード燃費)
●.●km/L(平均値のみ表示)、日本だけの基準
↓
新表示(WLTP)国際基準
○.○km/L(平均値の表示)
+
■.■km/L市街地
▲.▲km/L郊外
◆.◆km/L高速道路
(走行モードの違いごとにも燃費を表示)
JC08モードからWLTPで変わる測定内容
JC08 | WLTP(Class3b) | 差 | |
最高速度(km/h) | 81.6 | 97.4 | +15.8 |
平均速度(km/h) | 24.41 | 36.57 | +12.16 |
最高正加速度(km/h/s) | 5.5 | 5.7 | +0.2 |
走行時間 | 20分04秒 | 24分37秒 | +4分33秒 |
総走行距離(km) | 8.17 | 15.01 | +6.84 |
アイドリング時間比較(%) | 29.7 | 15.4 | -14.3 |
コールドスタート比率(%) | 25 | 100 | +75 |