アウディが開発を進めている次世代パワートレインには三つのtronテクノロジーがある。燃料電池車のh-tron、天然ガス車のg-tron、そして同社が現時点で最も理想的なパワートレインとしているのがPHVのe-tronだ。このe-tronを搭載したアウディ初の量産PHVがA3スポーツバックe-tronである。
PHVシステムは1.4L直4ターボ(150ps/25.5kgm)に109ps/33.7kgmの電気モーターを組み合わせている。これをエンジンとモーターの駆動を制御する遮断クラッチ付きのデュアルクラッチの6速Sトロニックを介してFFで駆動する。スタートボタンをして試乗開始。起動時は走行モードが自動的にEVモードになっており、モーターやコントロールユニットの音もほとんどせず、驚くほど静かにスムーズに加速していく。EVモードでの最高速度130km/hは残念ながら試せなかったが、EV独特のトルク感で高速道路での流れに合わせて俊敏に走ることができる。
走行モードはEVボタンにより、モーターのみで走行できる「EVモード」、一般的なハイブリッド走行行う「ハイブリッドオート」、充電量を維持しながら走行する「ハイブリッドホールド」、積極的にバッテリーを充電して走行する「ハイブリッドチャージ」という4種類の走行モードを選択できる。
一般的なハイブリッド走行のハイブリッドオートでも発進はEVとなるが、速度域が上がってくるとエンジンとモーター両方の駆動となり、ひとたびアクセルを強く踏むと左側のパワーメーターがブースト領域に入り、そのトルク感たるや2、3L級。しかもSモードにするとアクセルレスポンスやギフトプログラムがすばやくなり、モーターが積極的に介入してくるので痛快そのもの。回生ブレーキもDレンジとは違って、Gがかかって積極的に電気を貯めているのがわかる。
もちろん、エンジンとモーターの制御は秀逸で、アクセルを緩めた時などはクラッチを切って燃費重視の惰性走行を行う。同じPHVシステムを使うゴルフGTEはGTEモードという飛び道具があり、強烈なキャラクターを持つが、audiらしい作りの良さ、質感の高さに加えスポーツ走行が出来る隠れた実力を持っているので、むしろGTEよりこちらの方が幅広く受け入れられるかもしれない。
アウディ A3スポーツバック e-tron 主要諸元
全長☓全幅☓全高(mm) | 4330☓1785☓1465 |
ホイールベース(mm) | 2635 |
エンジン | 直4DOHCターボ、1394cc |
エンジン最高出力(ps/rpm) | 150/5000-6000 |
エンジン最大トルク(Nm(kgm)/rpm | 25.5/1500-3500 |
モーター最高出力(ps)/ 最大トルク(kgm) |
109/33.7 |
JC08モード燃費(km/L) | 23.3 |
価格 | 564万円 |