「ハイブリッド」をグレード名に冠した2代目ソリオがソリオバンディットと併せて誕生した。エンジンはポート噴射ながらインジェクションを各シリンダーに2本配した「K12C型デュアルジェット」。先代が搭載していた「K12Bデュアルジェット」から圧縮比を0.5向上させて12.5とし、併せてピストン形状と吸気ポートを見直して吸気の流れを強化するとともに、熱量の増加に対する冷却効果を向上させるためシリンダーのウォッシャージャケット形状やピストンクーリングジェットの見直しをおこなっている。
また、フリクション低減を目的にバッグバルブリフターを直打式からローラーロッカー式とし、エンジン単体での熱効率を全域にわたって向上。さらに単体で約4%の軽量化を達成するとともにエンジンルーム内での搭載角度を15度から5度へと直立させ、ラジエーターなどの配置を見直すことで搭載スペースも小型化。
新型ソリオ系のハイライトは「ハイブリッド」のはずなのに、なぜここまでエンジン代替を紹介するのかといえば答えは簡単。ベースのエンジン性能が良くなければ燃費数値の向上(カタログ燃費は27.8Km/Lとクラストップ)で全車エコカー減税対象には結びつかないからだ。
というのも、ソリオ系が搭載するハイブリッドは、マイルドハイブリッド方式で、ワゴンRやスペーシア、ハスラーなど軽自動車に搭載されているSエネチャージと同じシステム構成で、バッテリー容量やSOC制御も同じ。つまり簡易型ハイブリッドでモーター単独でのEV走行はできない。その代わり補機類が少なく価格も抑えられ、さらにキャビンのスペース効率も高く保てるなどコンパクトカー垂涎のメリットも多数ある。
ちなみにSエネチャージと違うのはモーターで、WA04A型が2.2ps&4.1kgmであるのに対して、マイルドハイブリッドのソリオ系はWA05A型が3.1ps&5.1kgmと(発生回転数は共に同じ)とワゴンR比で160kg増えた車両重量に対応。
力強い乗り味に隠された2つのカラクリとは
肝心の乗り味だが、発進時から排気量以上の力強さと乗り味を実感。多少車格は違うが60km/h程度までの走りっぷりはトヨタラクティスの1.5Lガソリンモデルと遜色ないレベルだ。これには2つのカラクリがある。
理由その1は国内外のAセグメント車両向けに開発された新プラットフォーム。ともかくアンダーボディ&ボディを軽く仕上げ、サスペンションは高剛性を保つという相克課題をみごとに克服。理由その2はエンジン出力特性を引き出すCVT制御。発信時から入るモーターアシストをふまえ、アクセルの踏み込み量にリンクしたエンジン回転上昇により気持ちとのずれも無い。
一方ちょっとだけ気になったのはサス設定だ。今回の試乗は市街地のみの走行だったが、ドライバーのみの乗車と後席に大人2名が乗車した際の特性変化が大きく、不安はないものの同時に大きなロールも許す。
それは「剛性面で不利な開口面積の大きなハイトワゴンボディで、4輪の高い設置性能と軽量ボディの両立という二重、三重の産みの苦しみがあった」の言葉にも表れているが、是非とも高速走行での特性変化量を確認してみたい。
ソリオハイブリッドMX 主要諸元
全長☓全幅☓全高(mm) | 3710☓1625☓1745 |
ホイールベース(mm) | 2480 |
車重(kg) | 950 |
エンジン | 直4DOHC |
最高出力(ps/rpm) | 91/6000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 12.0/4000 |
トランスミッション | CVT |
JC08モード燃費(km/L) | 27.8 |
エコカー減税 (取得税/重量税) |
80%/75% |
価格 | 169万5600円 (4WDは182万1960円) |