マツダのSKYACTIVにはなぜガソリンターボはないのか?エンジン開発部門の責任者に聞くと、過給すると圧縮比を上げられないでしょ、という答えが返ってくる。SKYACTIV-Gの「キモ」は、何はさておき高圧縮比(正確には高膨張比)。過給するなら圧縮比14は諦めなくちゃならない。精密な認証制度でノックをコントロールしつつ、高膨張比で熱効率を稼ぐというのが基本コンセプト。圧縮比を下げたら身も蓋もないのだ。
ただし、マツダの資料にもちゃんと書いてあるのだが、ダウンサイズターボのメリットもしっかり認めている。高圧縮比メリットの薄れる低負荷領域では、ダウンサイズターボの効率が高まってくるし、気筒数削減まで踏み込めればフリクション低減の効果も顕著。また、燃費効率からドライバビリティに目を転じれば、過給ならではの力強いトルクフィールにも魅力がある。しかし、それでも現状SKYACTIV-Gで過給をやらないのは、つまるところコスト高を敬遠しているから。これが本音と言わざるを得ない。ターボ化すると、ターボチャージャー、インタークーラー、エンジン周りの機械強度UPなど、コストアップ要因が一気に押し寄せてくる。
例えば、トヨタなら3.5LのV6を2Lターボに置き換えるといった戦略が可能だが、マツダの車種ラインナップを見渡せばそんなコストアップを吸収して商品化できる状況にはない。というか、高付加価値エンジンとしてはSKYACTIV-Dがすでに絶賛を博していて、ガソリンターボのつけ入る余地が見当たらない。そんなわけでターボは、出るとしても当分先だろう。