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VW TYPEⅡ マイクロバスがEVミニバンで復活! その名はBUDD-e

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フォルクスワーゲンはディーゼルエンジンの排気ガスソフトウェア不正操作という自ら招いた危機によって北米での信頼を失った。

その結果、この国の市場ではディーゼルエンジン搭載モデルの販売は当面見込まれず、その善後策として電化、すなわちEVの方向へと舵を切ると発表した。

その第一弾として1月5日、アメリカラスベガスで開催されたCES(国際家電ショー)で次世代EVコンセプトモデル「BUDD-e」を公開した。BUDD-eという名称は人気の高かったVWトランスポーターの相性「Bulli」にちなんだものである。

このEVミニバンはVWがEV専用に開発したモジュールプラットフォーム「MEB」をベースにしたもので、前後アクスルの間、床下に電池を搭載するレイアウトを持っている。このコンセプトモデルには92.4kWhの容量を持ったリチウムイオン電池が収納され、前後アクスルにフランジされたフロント100kWとリア125kWの電気モーターによって0→60マイル(約96km/h)を6.9秒、最高速度は180km/hで駆け抜ける。

デザインはフロントのグリルはややアグレッシブ。確かに補機類、あるいは室内換気用フィルターを効果的に働かせるために空気の入り口が必要だったかもしれないが、昔のBulliのような愛嬌のある顔にしてほしかった。

前述のMEBをベースに開発されたBUDD-eのサイズは全長4597mm、全幅1940、全高1835mm、そしてホイールベースは3151mm。オーバーハングはEV駆動の利点を最大限に生かして前694mm、後752mmしかない。その結果、まさにワンボックスという言葉が相応しい室内に何の出っ張りもない、卓球台が置けるほどのルーミーな空間を得ている。

ちなみにこのサイズはクライスラーとの共同開発で北米市場に送り込んだVWルータン(全長5144×全幅1953×全高1750mm。ホイールベース3078mm)、あるいはホンダオデッセイやトヨタシエナに近い。すなわちVWは北米のミニバン市場にEVとして改めて進出する計画があるのかもしれない。

NFC(Near Filed Communication)によって運転席のドアに手を近づけ、手前に引くとまるで魔法のドアのように開くのだ。リアのスライドドアも同じように開閉可能である。

昔のVWバスの様に横にステアリングスポークがの伸びたマルチファンクションステアリングホイールを握り、床から伸びているはずのシフトレバーを探してみるが、そんなものは存在しない。正面のセンターコンソールにあるLEDスイッチをDにするとスタート準備完了である。

ラスベガスの街でBUDD-eに試乗

EVは通常立ち上がりトルクの大きな電気モーターによって鋭い加速をするものだが、このVWの電動バスのスタートはややもっさり、踏み込んだアクセルペダルに対しても緩慢に動き出す。

しかしすぐに、周囲の交通に邪魔されない時速40マイル(約64km/h)の速度に達する。シャシーの動きはまだプロトタイプの域を出ていないので、21インチホイールが低速ではバタバタと動き、必ずしも快適とは言えない。それでも床下に収納されたバッテリーのおかげで、背の高いBUDD-eはとても安定した挙動を示し、速度を増していくとおだやかな大海を行くクルーザーのように安定してくる。

またブレーキはキネティックエネルギーを回収しているために、やや不自然な感触はあったが、このままでも市販モデルとして通用する確実な制動性能を発揮してくれた。

一方大きなボディ、更に21インチホイールにもかかわらず、リアステアリングシステムで回転直径は11.5m、実際にラスベガス郊外の一般道路では、ステアリングを切り返してバックする必要がなく1回で回転することができた。

VWはこのBUDD-eに似たEVミニバンを2019年までに北米で販売すると宣言している。航続距離と充電時間が解決するとしても、さらに充電インフラや電池価格などまだ問題は山積みである。しかしディーゼルの可能性を閉ざされたVWとしては、好むと好まざるとにかかわらず、この選択肢が唯一残された可能性なのだ。

VW BUDD-e主要諸元

全長☓全幅☓全高(mm) 4597☓1940☓1835
ホイールベース(mm) 3151
フロントモーター(kW/kgm) 100/20.4
リアモーター(kW/kgm) 125/29.6
システム最高出力(ps) 306
バッテリー/容量 リチウムイオン/92.4kWh
航続距離(km) 533
最高速度(km/h) 180

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