Nワンにスポーティ指向のコンプリートモデル、モデューロXが発売された。魅力はスタイリングとフットワークといい雰囲気。
モデューロXは、ホンダ社純正用品の企画プロデュースを担うホンダアクセスが、ホンダの新車開発チームと連携プレイでクリエイトしたコンプリートモデルである。モデューロXは現在、KカーのNボックスとNワンに設定されている。試乗車は7月のマイナーチェンジでデビューしたNワン・モデューロXである。
プロフィールを紹介しよう。ベース車は標準モデル比で65mm車高を下げたローダウンモデルである。モデューロXは、オリジナルデザインのエアロキットやアルミホイール、マフラーを装着。そして専用開発のサスペンションを組み込み、パワーステアリングやトランスミッションの制御にも変更をくわえている。パワーユニットは直列3気筒ターボ(64ps/10.6kgm)で、こちらはベース車と共通スペックになる。全高が1535mmのアピアランスは、Kカーとは思えないプレミアム感がただよう。新たにデザインされたエアロパーツ類のフィット感はバツグンにいい。インテリアはスペシャルな雰囲気だ。赤いステッチがほどこされたシートやステアリングホイール、シフトセレクターなどで、スポーティなイメージが強い。
標準モデルの味わいを上手にいかしたドレスアップ手法はコンプリートモデルならではの仕上がりである。モデューロXの真価はフットワークにある。モデューロXは、ローダウングレードよりさらに10mm車高が低い。通常ならかなりハードな乗り味になる。ところが、ローシルエット化(最低地上高は130mm)ルックスにもかかわらず、専用設計された足回りは信じられないほどストローク感に富んでいた。フットワークテニスとは自信を持ってしなやかと言える。ハンドリングは適度にスポーティでステアリング操作に対してリニアな反応を示す。荒れた路面でも4輪はしっかりと路面をトレースし、乗り心地も良かった。足回りの完成度は、Kカーの水準をあきらかに超えていた。
Nワン・モデューロXの魅力は、低くスポーティなスタイリングと、標準仕様を大きく上回る上質な乗り味だ。Kカーの世界はまだまだ新たなる可能性を秘めている、と教えてくれる存在だった。