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最新ディーゼル重要ポイント クリーンディーゼルの動向

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昔はディーゼルエンジンなんて乗用車用としてメリットがあるとは思わなかった。燃費はいいけど、ガラガラうるさいし、回転を上げると頭打つの早い。初代ゴルフのディーゼルは人気があったが、経済性のために我慢して乗るというのが正直なところだった。

これがガラッとひっくり返ったのが、コモンレール直噴とターボの普及。電制直噴で燃料を精密にコントロールできるから、嫌なノック音が劇的に減少し、排ガスクリーン化のために標準装備となったターボはトルク特性を大きく改善。

静かでトルキー、しかも燃費がいい。新世代のクリーンディーゼルは、一昔前とは全く違うパフォーマンスを獲得したわけだ。

そもそも、ディーゼルエンジンの根本的な長所というのは、燃料を噴射している間燃焼が続くため(定圧燃焼)、混合気をプラグの火花で瞬時に燃焼させる(定容燃焼)ガソリンエンジンより、サイクル効率(=燃費)に優れるところ。

だだし、そういう燃焼サイクル(ディーゼルサイクル)を実現するためには、高圧縮比化に伴う高い燃焼圧力に耐えるため、ピストンなどのムービングパーツがゴツく重くなったり、燃焼に伴うノック音がうるさかったりというデメリットがあった。

しかし、最新のハイテク技術がそういう基本デメリットを大きく改善。電制直噴や可変バルブ制御などのハイテク化で始動性を改善できるから、圧縮比はどんどん下がる。すると、ピストンやフランクの機械的負荷が減るから軽量化が進み、運動部分の質量が減って高回転化が可能になるという好循環。

さらに、サイクルごとに9回も小分けに噴射できる精密制御で、急激な圧力上昇を緩和できるからノック音も減る。可変ジオメトリーターボで効率よく過給するから、低速から太いトルクを発揮する。

ディーゼルにとって最近の技術革新は本当に恩恵が大。性能も燃費もドライバビリティも全てが向上した。

 

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NOxとの戦いに勝つ3つの方法

ただし、世の中いい事ばかりは続かない。我が世の春を謳歌するディーゼルに冷水をかけたのがNOx(窒素酸化物)排出量を中心とした排ガスの問題。これを解決しないと、少なくとも先進国では商売が出来なくなってしまったのだ。

ディーゼルはそもそも空燃比で言うと圧倒的にリーンな(薄い)状態で燃焼していて、それが優れた燃費効率の一つの要因となっている。ところが、リーンな状態で燃焼温度が上がるとNOxが出る。しかも、排ガス中に酸素が大量に残っているとNOxを浄化する触媒がうまく働かない。

21世紀になってからのディーゼルエンジンの開発は、まさにここが焦点。パフォーマンスを維持しながらいかにNOxを減らすかが勝負となってきているわけだ。

NOx対策はおおむね3種類のアプローチがある。一つは、燃焼室の中で徹底的にNOxの発生を抑えるマツダのSKYACTIV型。これは基本原理としては理想的なのだが、NOx発生を抑える=燃焼温度を下げるだから、パフォーマンスに制約が出る。

具体的には大量のEGR(排気再循環システム)と超精密な噴射制御が鍵で、ここは世界中のメーカーがマツダをリスペクトしている部分だが、これ以上のNOx低減やパフォーマンス向上を目指そうとすると、そろそろ限界と言われている。

もうひとつ、現在一番の主流となっているのは、NOx吸蔵還元触媒を使うタイプ。排出されるNOxを一度触媒に吸着しておいて、たまった所で短時間リッチな噴射を行ってNOxを浄化する。

システムとしては比較的シンプルだが、触媒に高価な貴金属を必要とする点と、定期的なリッチ噴射で燃費が悪化するのがデメリット。

3つ目は、選択還元触媒(SCR)と呼ばれるタイプ。排ガス中にアドブルー(尿素水溶液)を噴射して、一度NOxをアンモニア化してから酸化触媒で浄化する。

パフォーマンスに影響を与えずに高い浄化効率を実現できるけれど、独立した尿素噴射システムを追加しなければならないし、アドブルーの定期的な補給も必要となる。コスト的には一番厳しいと言われている。

ただ、コストは量産化が進めばいずれ下がるもの。最近の欧州ディーゼル車はこのシステムが徐々に主流になりつつあるし、パフォーマンスや燃費性能もSCRを採用新型にアドバンテージがある。

例えば、最新のジャガーやプジョーの2Lディーゼルの高性能ぶりがその典型。SCRをうまく活用してNOx排出量を気にせず最大ブースト圧を高めている印象。実にパワフルでドライバビリティがいい。

最大トルクと燃焼温度はほぼ比例関係にあるから、SCRが足りないとEGR量を増やしたりブースト圧を制限したり、色々とパフォーマンスに制約がある。その制約がないと、ディーゼルってこんなに良く回るんだねという感じ。

こういう高性能で燃費もいいディーゼルが増えてくると、やっぱり国産に対抗馬が少ないのが残念に思える。

頑張っているのは孤軍奮闘のマツダだけ。しかもSKYACTIVは後処理装置を使わないのが売り物なので、パフォーマンス的にちょっと弱い。そろそろSKYACTIVにも経済型と高性能型といった感じで、異なるバリエーションが欲しくなる。

 

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ディーゼルへの投資が手薄になった日本車

こんな風に日本車がディーゼルに消極的なのも、日本ではずっとハイブリッドの人気があったから。もちろん日本の交通環境では今でも燃費効率ベストはハイブリッドのだが、モーターや電池への技術投資がかさんだために、ディーゼルへの投資が手薄になった感は否めない。

コモンレール直噴システムやターボ、それから複雑な排ガス処理システムなど、最新のクリーンディーゼルはとにかくコストが高い。一旦このコストの壁を乗り越えないと普及が進まないわけだが、マツダ以外の日本のメーカーはその段階でまだ逡巡しているように見える。

でも、ヨーロッパ人から見ればハイブリッドだって「よくもあんなに馬鹿みたいに高コストなシステムを商品化した」と呆れるほど初期コストは高かったわけで、結局はリスクを取るか否か決断の問題。

どうやら、ディーゼルの排ガス処理システムはSCRが次世代の本命で決定のようだから、SCRのコスト低減をきっかけに日本車もディーゼルに本格進出して欲しいものです。

日本で売ってない日本のディーゼル

日本では欧州勢に差をつけられている日本のディーゼル車だが、各社とも海外市場専用のディーゼル車は結構持っている。このうち日本の排ガス規制とほぼ同等のユーロ6に対応しているのはトヨタの1.4L、ホンダの1.6L、スバルの2L、三菱の2.3Lと1.6L、そしてスズキの1.6L。日産は現在ユーロ6対応のディーゼルエンジンはラインナップしていない。

トヨタの1.4Lはオーリス、カローラ、ヤリスなどに搭載しており、ホンダの1.6Lはシビック、HR-V(ヴェゼル)、CR-Vなど、スバルの2Lはアウトバック、三菱はアウトランダーやRVRに搭載されている。スズキの1.6LはSX4 Sクロスとビターラ(エスクード)だ。

これらの車種は日本でもディーゼルを設定していてもおかしくないはずだが、メーカーサイドとしては全くその気はない模様。これはもう経営判断としか言いようがない。

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