12年以来久々の復活となったシビックタイプRは国内限定750台の抽選に対し、その10倍以上の申し込みがあった。価格428万円もするスポーツカーにこれほどの人気があるとは、ホンダタイプRの神通力力を証明した形で、また車自体の評価モすこぶる高い。
そのシビックタイプRに早くも次期モデルの情報が入ってきている。いくらなんでも発売して2ヶ月で次のモデルの話は早すぎないかと思われそうだが、これにはシビックをめぐる複雑な状況が絡んでいるのだ。
シビックが今タイプR以外は日本で発売されていないのはご存知の通り。現行モデルは欧州仕様と米国仕様があり、これが別モデルになっている。欧州仕様は12年にデビューしたものが今も販売されており、センタータンクレイアウトを採用したハッチバックで、タイプRもそれがベースとなっている。
一方、北米仕様は昨年11月に10代目になる新型が既にデビューしており、セダンとクーペのほか、今後5ドアも加わることになっている。次期タイプRのベースとなるのは、この新型北米仕様のセダンになるのだ。
つまり、シビックタイプRは、現行型は欧州仕様、次期型は北米仕様がベースになるというわけで、その発売タイミングのずれ故に、早くも次期モデルの投入が噂になるということ。日本でシビックタイプRが正式発売となったのは昨年12月だが、その二ヶ月前にはアメリカホンダが新型でタイプRを作ることを明言をしていたのである。
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さて、そんな複雑な状況をご理解いただいた上で、次期タイプRの実像に迫っていこう。ベースとなる新型北米仕様のシビックは新開発プラットフォームを採用している。これまで作り分けてきた北米仕様と欧州仕様を共通にするための新開発ユニットで、サスペンションは前ストラット、後マルチリンク。
実にここができタイプRの最大のポイントとなる所で、現行のリアサスはコスト重視のトーションビーム式。それでいてニュルFF最速をマークするだけのポテンシャルを発揮しているのは驚きだが、やはり四輪独立式の方が操安性に優れるのはたしかであり、マルチリンクは「待望」のリアサスペンションと言えるものなのだ。
北米仕様のシビックは先代モデルもリアはマルチリンクだったが、いよいよこれでタイプRが作れるようになるということ。また、ベースとなるセダンのホイールベースは2700mmで、現行型よりも100mm長くなるのも安定性の向上につながりそうだ。
エンジンは現行型のK24C、直4、2L VTECターボの継続採用が確実。まだ登場したばかりのエンジンでライバルに対するアドバンテージも十分。それに細かな改良を加えて進化させる方向だろう。
ちなみに北米シビックセダンのサイズは全長4630×全幅1800×全高1415mm前後。現行5ドアHBのタイプRは全長4390mmだから、相当大きくなる。エンジンは同じでも、かなり様相の異なる車になりそうだ。
日本のホンダ関係者によると、この北米仕様ベースの次期タイプRは現状日本への導入が決まっているわけではないが、まず間違いなく入ってくるだろうという。北米でのデビューは年内だとしたら、日本導入は来年夏~秋あたり。次は是非ともカタログモデルとして、望めば誰でも買える車にしてほしい。