セダン、ヴァリアントともに実用性は申し分なかったが、華がないとされてきたパサートがPHEV化によって、イメージを一新できるかVWグループジャパンにとっても勝負のモデル、果たしてその実力は?
- パサートGTE:519万9000円
- パサートGTEヴァリアント:539万9000円
- CEV補助金:10万8000円
- EV走行距離51.7km
- JC08モード燃費21.4km/L
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欧州のフルラインアップ系自動車メーカーにとってプラグインハイブリッドは待ったなしのCO2排出総量削減という重責を軽減する救世主のような存在になりつつある。満充電を前提としたその排出量計算は実地と大きく異なる一面もあるが、現場のルールにおいてはそれが排出超過を軽減する最善策であることは間違いない。だからメルセデスもBMWもそこに大きくリソースを割いている。
それはVWも然り。特に件のディーゼル問題以降、パワートレーンの電動化推進は完全な既定路線となり、ハイブリッド系の技術の重要な位置を占めるようになっている。その最中、日本上陸となったパサートGTEのウリは、先に導入されたゴルフGTEと同じく、GTIにも匹敵するハイパフォーマンスを高効率と両立するというものだ。
4気筒1.4Lの直噴ターボ、そこに駆動用モーターを組み合わせ、湿式クラッチの6速DSGでアウトプットするというパワー&ドライブトレーンもゴルフGTEと同様。しかしパサートGTEではエンジン出力が156ps、モーター出力が116ps、そしてリチウムイオンバッテリー容量が9.9kWhと車格に合わせて約1割ほど増強された。
システムの総合出力は218ps/400Nm(40.8kgm)と通常のガソリン車で言えば2Lターボ級のそれを確保、0~100km/h加速は7.4秒と車格を鑑みれば十分にスポーティと言える瞬発力も備えている。ちなみにバッテリーの充電は急速充電には非対応で、フロントグリル部に配された200Vコネクターでの充電時間は約4時間。EV走行時の最大航続距離はJC08計測で501.7km、最高速度130km/hとなっている。
パサートの標準モデルはFF系Dセグメントサルーンとして他車を大きく上回る静粛性や快適性が最大のウリだったが、その点はGTEでも大差はない。車重増加分のサスの締め込みによる弊害も目地段差等で、乗り心地はゴルフGTEとは一味違う美点とすることができる。また、パワートレーンの静かさを貶めない車体側の遮音性もウリのひとつと言えるだろう。持ち前の車内空間の広さも含め、総じての快適性はメルセデスやアウディといったプレミアムDセグメントを脅かすほどだ。
走行モードEVモード、ハイブリッドモード、そしてエンジンとモーターのパワーを最大限引き出すGTEモードの3つを任意で切り替えることが可能。GTEモードではアクセルレスポンスやシフトタイミング、ステアリング特性が変更され、パサートのイメージをいい意味で覆す。またモーター走行時には3段階で回生ブレーキの効きをコントロールすることもできる。
EV走行時の動力性能は街中走行をこなすに必要充分といったところだが、ハイブリッド走行の動力配分マネジメントはかなり自然にまとめられている。ブレーキの協調も然りで、実用上で違和感を感じる場面はほぼないと言っていいだろう。短距離ながら、流れのいい郊外路や高速道路での試乗では、ハイブリッドモードで約18km/Lという燃費を車載計でマークした。実質40km程度が予想される満充電からのEV走行距離も合わせて、片道20km程度の行動範囲で日々移動する向きにとっては、上質かつ高効率な移動空間になるはずだ。
パサートGTEとパサートGTEヴァリアントの比較
パサートGTE | パサートGTEヴァリアント | |
全長☓全幅☓全高(mm) | 4785☓1830☓1470 | 4775☓1830☓1510 |
ホイールベース(mm) | 2790 | 2790 |
車両重量(kg) | 1720 | 1770 |
エンジン | 直4DOHCターボ | 直4DOHCターボ |
排気量(cc) | 1394 | 1394 |
最高出力(ps/rpm) | 156/5000-6000 | 156/5000-6000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 25.5/1500-3500 | 25.5/1500-3500 |
システム最高出力(ps) | 218 | 218 |
トランスミッション | 6速DSG | 6速DSG |
サスペンション形式 | ストラット/4リンク | ストラット/4リンク |
EV走行距離(km) | 51.7 | 51.7 |
JC08モード燃費(km/L) | 21.4 | 21.4 |
価格 | 519万9000円 | 539万9000円 |