エコカー減税の改訂は、販売面に悪影響を与えるが大打撃にはならない。販売ランキングの上位に位置する売れ筋のハイブリッド車などは、従来と同じ免税を保つからだ。
例えばプリウス、ノートe-POWER、アクア、C-HRハイブリッドなどは、いずれも2020年度燃費基準+50%を達成する。
17年度のエコカー減税に加えて、さらに厳しい18年度でも最上位の免税となる。ワゴンRのマイルドハイブリッドの燃費基準は+30%は達成するが40%は非達成。
燃費数値が現状通りだと18年度は減税に下がるが17年度は免税だ。
特にディーゼルは有利。燃費数値に関係なく、経済産業省が定めるクリーンエネルギー自動車に該当するから全車が免税になる。
「エコカー減税が厳しくなってもディーゼルは免税!」と宣伝すれば販売綿で追い風になる。
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免税から減税になる車種はイメージダウンで販売減?
一方、免税に該当しない減税車は大半が減税率を下げて納める税額が増えたが、エコカー減税のユーザーの受け止め方は「免税/減税/対象外」の3種類だ。
例えばセレナのエコカー減税は、取得税が60%から20%に、重量税は50%から25%に下がり、2WDハイウェイスターで3万4300円の増税になった。
ヴェゼルは取得税の減税率が40%から20%に下がり、2WD・Xホンダセンシングで1万600円の増税だ(重量税は変更無し)。
しかし「減税車」であることに変わりはなく、納める税額が増えた実感がわきにくいから販売面の影響は小さい。
ただし同じヴェゼルでも、ハイブリッドは免税から減税に変更された。ハイブリッド2WD・Xホンダセンシングは取得税が60%の減税に、重量税が75%の減税に下がって3万500円の増税だ。
増税額はセレナハイウェイスターと同程度でも、ハイブリッドで「免税」の勲章を失ったイメージダウンは大きく販売面に影響が生じる。
さらに辛いのは前年度まで最低ランクの減税で、新年度は減税対象外になった車種。インプレッサスポーツ4WD 2.0i-Lアイサイトは、値引き額で調整可能な1万7600円の減税額を失ったにとどまるが、販売面の下落は小さくない。
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エコカー減税見直しによる販売減は10%程度と予想
この背景には、エコカー減税車ならば税額が安くなって低燃費だという「お墨付き」を得られることもあるが、それだけではない。
その一方で、エコカー減税は膨大な車種の中から一車を選別するときの「切り捨て手段」になっているからだ。
国内販売を総合的に見ると、エコカー減税の改訂に伴う販売下落は10%前後。新型車の投入などで補える範囲に収まり、販売ランキングの上位車種にも変動はないと予想する。
なお、エコカー減税で最も注意したいのは購入後の自動車重量税だ。
エコカー減税車は継続的に500kg毎に年額2500円の本則税率が適用され、車両重量が1300kgの車種なら継続車検時の2年分は1万5000円になる。
ところが対象外になると年額4100円となり、2年分なら2万4600円だ。購入後も1.64倍の重量税を払い続ける。エコカー減税の当否で差が生じるのは購入時だけでなく買った後の重量税もなのだ。