初代セルシオからカウントして5代目となる新型レクサスLSが昨年12月に登場。
ハイブリッドモデルに遅れて発売となった新開発V6、3.5Lツインターボエンジンを搭載する「LS500」の試乗をお伝えする。
このエンジン、ボアxストロークが85.5×100.0mmという超ロングストローク。
総排気量3444ccで、IS350などに搭載される2GR型とは全くの別物。
徹底的に熱効率の向上を追求したエンジンということで、ロングストロークによりシリンダー内にタンブル流を作り出し、燃焼効率を高めるなどしている。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、新開発の10速ATで、これもまたダイレクトなドライブフィールとエネルギーロス低減に寄与する。
チーフエンジニアは「新しい高級車の価値観を創造する」、「ドライバーズカーとしてのエモーショナルな走りの性能」を強くアピール。
レクサスの走りとは
このエンジン、シューンと気持ちよく吹け上がるのだが、422ps/61.2kgmという数値からイメージするほどのパンチを感じない。
あたかも6L級NAエンジンのような自然なドライブフィールなのだが、例えば高速道路の合流加速で50km/hあたりから100km/hに向けて、もっとドラマチックな加速感を味わわせて欲しいと思ってしまう。
マルチステージハイブリッドのLS500hの加速感がなかなか新鮮な官能感を味わわせてくれるだけに、ツインターボには更なる「盛り上がり」を期待してしまう。
実際は十分速いが少々「お上品」なのだ。
一般道を50~60km/hで走ると、ちょっと車体上屋の動きにプルプルとせわしなさを感じる場面がある。
これについては開発担当者も「認識しています」とのことで、「現状ではベストなバランスポイントとしていますが、今後さらに突き詰めたセッティングを継続中です」とのこと。
車体とブッシュ、ダンパーなどの共振ポイントがちょうどこの車速域に出ているのだろうか?
高速道路など、速度を高めていくとスッとした乗り心地に変化する。
乗り心地と操縦安定性、室内騒音など総合的に高い水準が求められるレクサスLSだけに、少々高い基準点で見てしまう。
ただ乗り味、室内の雰囲気、佇まいのいずれもベンツSクラスとも違うし、BMW7シリーズにも似ていない。
これはとても重要な部分で、独自の「レクサスの存在感」を作り上げていく過程なのだと解釈。
Sも7もモデルチェンジ直後から、じっくりと熟成させて完成度を高めて今に至るのだから、熟成を見守りたい。