消費税が10%になると、所得税が廃止される代わりに、環境性能割税率が適用される可能性が高い。実質的に取得税と同じで、税率が少し下がるだけだ。
となれば現時点でエコカー減税によって取得税と重量税が免税の車種は、消費増税分が丸々上乗せされる。免税の車種で、なおかつ現行型の商品力が高い場合、消費増税前に買うのが絶対にお得だ。
この筆頭がハスラー。2WDのXであれば、S-エネチャージの採用でJC08モード燃費が32km/Lと優れ、エコカー減税は免税。デュアルカメラブレーキサポートも採用された。2個のカメラをセンサーとして使う先進的な緊急自動ブレーキだ。ここまで進化すると、もはや次期型を待つ必要はない。消費税が8%の段階で買っておきたい。
タントも同様だ。マイナーチェンジで装備が簡略化され、今後はさらにコスト低減へ進む可能性がある。ダイハツの場合、かつてのムーヴではハンドルの中央に装着されるメッキされたメーカーのエンブレムを省いたこともあり、コスト低減と質感の向上(回復)を繰り返してきた。そして現行タントは従来型の路線を踏襲しながら、「軽自動車の販売首位」を念頭に置いて渾身の開発を行なった車でもあるから、機能が熟成されている。
ジムニーは軽自動車でもJC08モード燃費は13.6km/Lにとどまる。燃費数値だけで判断すれば、燃料消費量はワゴンRの2.4倍だ。エコカー減税も対象外で98年の登場だから安全装備も古い。こういった不利な条件を考えると次期型を待つ手もあるが、堅牢なラダーフレームによる優れた走破力、シンプルな構造が生み出す使いやすさ、本来のオフロード4WDが持っていた素朴な味わいなどは、現行型の方が濃厚だろう。ジムニーがシティ派SUVに迎合する心配はないと思うが、徹底した悪路指向が好みなら、安全装備や燃費が不利でも熟成された現行型を選びたい。
カムリ、CX-5も現行型が「買い」
一方、消費増税による税額の上乗せが大きいのは高価格車だ。特に現時点で免税の車種は、購入予算が大幅に増える。現行型に相応の魅力があるなら増税前に購入したい。この代表がCX-5だ。発売は12年5月だから4年近くを経過するが、細かな改良をくわえて今でも走行性能や内外装の質感、4WDの走破力などが高い。
しかもクリーンディーゼルターボを搭載した4WDのXD・Lパッケージは、消費増税分の2%が6万4600円に相当する。現時点でエコカー減税により免税だから、増税後には、この金額が購入予算にそのまま上乗せされてしまう。
さらに現時点では次世代自動車として12万円の補助金を受け取れるが、将来的には減額する方向だ。となれれば改良を受けた現行型を消費増税前に購入するのが得策になる。同様のことがカムリにも当てはまる。ハイブリッド車だから免税の対象で、最上級のレザーパッケージは、現時点の税込価格が400万円を超える。消費増税分の2%でも7万4600円だ。
そして車の魅力も高い。ホイールベースが2775mmと長く、全高にも1470mmの余裕をもたせたから、前後席ともに十分な空間があって快適だ。内装の作りも上質で、ボディは大柄だが水平基調の視界が良いデザインだから運転がしやすい。北米向けに開発されながら、マークⅡなど「昭和の上級セダン」が備えていた落ち着いた雰囲気とリラックスできる居住性が備わる。
しかもマイナーチェンジでは、最先端ではないものの、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備が用意された。次期型はもっとスポーティな方向に発展するだろうから、落ち着いたカムリに魅力を感じるなら現行型を買いたい。
特殊なパターンではジュークもあげられる。デザイン面における一種のアイデア商品で、従来にないフロントマスクやサイドビュー、内装の造りなどが強いインパクトを持って注目された。
だからフルモデルチェンジを行うと、現行型に比べて鮮度が下がりやすい。コンパクトカーやミニバンのような実用車ではないから、機能が向上しても、次期型ではユーザーの買う気分が現行型ほど盛り上がらない心配がある。マツダロードスターなどにも当てはまる話だが、ジュークの本命は初代モデルの現行型だ。これを長く乗り続けるのがかっこいいと思う。
消費税増税前の現行型が「買い」の車たち
●スズキジムニー:フルモデルチェンジ予想時期2017年5月
オフロード4WDらしい素朴な力強さが次期型では薄まる可能性も。その味を求めるなら現行型だ。
●日産ジューク:フルモデルチェンジ予想時期2017年7月
個性派モデルは機能よりもトンガリ度が重要。消費税が上がる前にオリジナルの現行型に行くか。
●マツダCX-5:フルモデルチェンジ予想時期2017年8月
増税とともにエコカー補助金がどうなるかも不透明。今のうちに熟成の現行型を買うのがおすすめ。
●トヨタカムリ:フルモデルチェンジ予想時期2017年9月
エコカー補助金の減額が確実視されていることもあり、消費税アップ前の現行型の購入がオススメだ。
●ダイハツタント:フルモデルチェンジ予想時期2017年10月
次期型はコスト削減が進む可能性あり。軽ナンバーワンを目標に渾身の開発がなされた現行型が買い。
●スズキハスラー:フルモデルチェンジ予想時期2017年12月
現行型の商品力の高さはピカイチなうえ、改良で更に魅力が向上。現行型を買って損はない。
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