プチバンは全てファミリー向けだが、各車種が独自の特徴を備え、使用目的に応じて選べる。高齢者のいる世帯では、助手席の乗降性が優れたポルテ&スペイドは便利だ。
キャンプに出かけたり、たくさんの荷物を積んだり車中泊を楽しむならフリードプラスが使いやすい。
しかし単純に4名で乗る場合、ポルテ&スペイドは左側のドアが1枚のスライド式だから乗降時に不便だ。フリードプラスでは無駄なスペースが生じて価格も高まる。
そこで候補になるのがソリオ、トール4姉妹車、キューブ。キューブはソファ風のシートと和風の内装が特徴だが、8年前の発売だから設計が古い。緊急自動ブレーキも付かず推奨度が下がる。そうなるとソリオかトール4姉妹車だが、後者は走行性能と乗り心地に不満が多い。
根本原因は手近な材料を使い、約2年間で開発したことだ。プラットフォームはパッソ&ブーン用だから、補強を施すにも限界があった。1トンを大幅に超える背の高いボディを支えるのは難しい。
エンジンも今のダイハツでは国内の小型車用が3気筒1Lのみになる。自然吸気は少し高回転型で、車両重量の割に実用回転域の駆動力が乏しい。
1Lターボは実質的に新開発だから時間との戦いを強いられ、2000回転付近のノイズを解消できなかった。
一方、スズキは顧客の需要に応えてソリオを淡々と開発した。全長と全幅を抑えて最大限度の室内を備える。
軽自動車と同様に現行型はプラットフォームを大幅に刷新して軽量化を徹底させ、車両重量はトール4姉妹車よりも120kg軽い。2種類のハイブリッドを揃え、時間を費やして作りこんだ。
商品力に差が生じた背景には、ダイハツの立場もある。主要顧客は軽自動車ユーザーとトヨタだ。トヨタのニーズに応えるため苦労があり、トール4姉妹車の開発も、同様の苦労がある。
ちなみにダイハツは世界生産台数の61%国内で売る。20%以下となる他のメーカーに比べると国内比率が大幅に高い。ダイハツは日本を一番に大切に考えているメーカーでもあるのだ。
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プチバン5車比較
スズキソリオハイブリッド
クラスナンバーワンの燃費をマーク
- 価格:191万7000円~204万6600円
- ハイブリッドSX
- 全長☓全幅:3710☓1625mm
- 全高1745mm
- エンジン:1.2L直4+モーター
- エンジン最高出力:91ps
- モーター最高出力:13.6pe
- JC08モード燃費:32.0km/L
ダイハツトール
ソリオ対抗馬はターボもあり
- 価格:146万3400~200万8800円
- Gターボ ”SAⅡ”
- 全長☓全幅:3700☓1670mm
- 全高:1735mm
- エンジン:1L直3+ターボ
- 最高出力:98ps
- 最大トルク:14.3kgm
- JC08モード燃費:21.8km/L
トヨタポルテ
助手席スライドドアが大きく開く
- 価格:177万7680~207万7920円
- F-2WD
- 全長☓全幅:3995☓1695mm
- 全高:1690mm
- エンジン:1.5L直4
- 最高出力:109ps
- 最大トルク:13.9kgm
- JC08モード燃費:22.2km/L
ホンダフリードプラス
大きめボディで車中泊も可
- 価格:190万~274万8200円
- Gホンダセンシング・2WD
- 全長☓全幅:4295☓1695mm
- 全高:1710mm
- 1.5L直4
- 最高出力:131ps
- 最大トルク:15.8kgm
- JC08モード燃費:19.0km/L
日産キューブ
コンパクトハイトワゴンの代表格
- 価格:162万~198万7200円
- 15X Vセレクション
- 全長☓全幅:3890☓1695mm
- 全高:1650mm
- エンジン:1.5L直4
- 最高出力:111ps
- 最大トルク:15.1kgm
- JC08モード燃費:19.0km/L