クロスビーは「ハスラーの小型車版が欲しい」というニーズに応えて開発された。
確かにフロントマスクは似ているが、全幅はクロスビーが1670mmだから、軽自動車のハスラーより約20cm幅広い。
フェンダーにも丸みがあり、外観からハスラーらしさは意外と感じられない。
全長は3760mmで、全幅を含めてスイフトよりも小さいが、全高が1705mmに達するから車内は広い。
前席は肩まわりのサポート性がハスラーよりも優れ、小型車らしいボリュームがある。
後席は薄手だが座った時の底突き感もなく快適。
前後席のヒップポイント間隔はハスラーと同じ1mだが、セダンに当てはめるとLサイズに相当する。
身長170cmの大人四人が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りこぶし二つ半の余裕があった。
ボディは短いが4名乗車も快適だ。
荷室は床が高く、路面から80cm離れている。
スペーシアの51cmを大幅に上回り、重い荷物を積むときは少々辛い。
床が高い理由を開発者に尋ねると「バンパーを高めにして、SUVらしい外観に見せるため」だと言う。
床が高いから、床下のアンダーボックスには十分な深さがある。
床面のボードを外すと、ベビーカーを立てて積める。
寝かせて積むのに比べて面積を取らず、他の荷物も収納しやすい。
エンジンはマイルドハイブリッドの直列3気筒1Lターボのみを搭載する。
開発者は「みんなで、もっと遠くまで遊びに行きたい」というコンセプトで開発したから、動力性能に余裕のあるターボだけにしたという。
動力性能の数値は自然吸気の1.5Lと同等だ。
1Lターボを選んだ理由を尋ねると「低回転域の駆動力に余裕があり、実用燃費も1.5Lより少し有利になる」との返答だった。
そこでクロスビーをゆっくり発進させると、1500回転付近でも駆動力の落ち込みが少ない。
アクセルペダルを踏み増すと直線的に吹き上がり、三名乗車で移動しても力不足を感じなかった。
トランスミッションはトルクコンバーター式の6速ATで、無断変速のCVTに比べると速度の微調節がしやすい。
高回転まで回したときもメリハリのある変速が行えた。
乗り心地は路面の状態によって硬めに感じるが、重心の少し高いコンパクトSUVでは快適だ。
共通のプラットフォームを使うイグニスに比べると、クロスビーは足回りを柔軟に伸縮させる。
その代わり走行安定性は少し緩い。
操舵角に応じて鈍さを感じさせず車両の向きは変わるが、危険回避のためにカーブを曲がっている最中にアクセルペダルを戻したりすると、後輪が少し横滑りを生じやすい。
言い換えればスポーティな性格で、曲がりくねった峠道を走りやすい。
グレードはハイブリッドMXと、上級のハイブリッドMZを設け、駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDがある。
MZはMXに比べて23万7600円高いが、緊急自動ブレーキが備わるデュアルセンサーブレーキサポート、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプなどが標準装備され、合計26万円相当の装備が加わる。
従ってMZが約2万円割安だ。
駆動方式は用途に応じて決めたいが、4WDの価格上昇は14万2560円だからこれも安い。
ハイブリッドMZの価格は4WDで214万5960円。
サイズの割に高く感じるが、それだけの内容が備わる。
主要諸元
グレード | HYBRID MZ(FF) |
全長☓全幅☓全高(mm) | 3760☓1670☓1705 |
ホイールベース(mm) | 2435 |
車重(kg) | 960 |
エンジン | 直3DOHCターボ |
総排気量(cc) | 996 |
最高出力(ps/rpm) | 99/5500 |
最大トルク(kgm/rpm) | 15.3/1700-4000 |
モーター最高出力(ps) | 3.1 |
トランスミッション | 6AT |
JC08モード燃費(km/L) | 22.0 |
価格 | 200万3400円 |