一般的には未来を描いたSF映画などのイメージが強いのか、手放し運転こそ主たる目的のように捉えられがちだ。でも実際は、技術の力でドライバーの運転操作を最大限サポートし交通事故の発生確率を減らす、「事故ゼロ社会を目指すための究極技術である」というスタンスで世界中の自動車メーカーやサプライヤー企業が切磋琢磨し自律自動運転の技術開発に取り組んでいる。
この部分をADAS(先進安全技術)の一つであるACC(アダプティブクルーズコントロール)を例に具体的に。前走車をセンサーで捉え、システムに許された範囲内でのアクセル操作とブレーキ操作によって追従走行を行うACCだが、これはドライバーが行うべき運転操作のうち、最大で約30%の操作量をシステムが行うことでドライバーをサポートする技術だ。
今後センサーの性能が飛躍的に高まろうとも約70%は通常通り、ドライバーが行う仕事として残る。また、約30%にしても、物理的な限界点(例:センサーの認識エリア外検知や悪天候)に達した場合は、即座にドライバーが操作を引き継ぐ必要がある。
我々が近い将来にすることのできる自律自動運転の世界は、ACCや衝突被害軽減ブレーキのようなADASが連携し高度に進化した技術によって支えられる「手厚いサポート」の上に成り立つ。しかし、こうしたADASによる運転操作のサポートを受けるということは、それと同時にドライバーはこれらADASが正常に機能しているかどうかを判断する「システムの監視役」という役割を新たに担うことになるのだ。