BRZがトヨタ86と共にデビューしたのは2012年だから、早いもので4年の時が経つ。この間もダンパーチューニングや車体骨格など3度の細かな見直しが入ってきたが、今回大規模なマイナーチェンジが施されることになった。
エクステリアでは水平基調を強めた新意匠のフロントバンパーやホイールデザインの変更、更に前後灯火類のLED化を伴う意匠変更などで従来型とは印象を大きく違えてている。
また、インテリアはステアリングの骨格を含めたデザイン変更やドア、ダッシュボード等のトリム類質感を向上させた他、メーター内には新たに4.2インチのTFT液晶マルチインジケーターを採用。
ラップタイマーやGモニターなどサーキット走行でも役立つ情報の表示が可能となっている。
エンジンは排気マニホールド径の見直しを含む吸排気系のファインチューンにより、MTの最高出力は7ps向上の207ps、最大トルクも7Nm向上の212Nm(21.6kgm)へと進化した。
加えて足回りはリアスタビの径を上げた他、ダンパーとスプリングを再チューニング、ボディ剛性の向上やEPSの制御を見直すことで軽快なハンドリングとフラットな乗り味の両立をさらに磨き上げたと言う。
さらにVDCの制御領域も再設定しドライバーのコントロール幅を広げた他、制御介入のフィーリングもより自然なものへと改められている。
新型BRZでは、新たにGTを設定、今秋の追加を予定するという。性能向上要素としてブレンボの対向4ピストンブレーキとザックス製ダンパーを採用。
外観上の識別点として専用デザインの10スポークアルミホイールが用意される。装着タイヤはミシュランプライマシーHPと、他の17インチグレードと同様だ。
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GT以上にSのバランスがいい
プロトタイプという前提での試乗が叶ったGTは、従来型に対して連続するコーナーの切り返しで振り返し的な車体の無駄な動きがよく抑えられている点、接地限界が引き上げられるだけでなくその滑り出しもよりゆったりとリニアに推移する点など、ダイナミクスにおいて確かに進化の跡がよく伺えた。
ブレーキも絶対制動力はもとよりタッチの硬質感、踏力に対するリニアリティの面でも他グレードより一歩上の性能を実現している。
こうなるとタイヤの性能をもう一歩グリップ側に振ってもいいのではないかと思ったが、そこをあえてバランス重視に抑えるあたりも一つの見識だろう。
そんな運動性能の割に乗り心地も十分納得できる範疇ではあるが、連続する細かな凹凸などでフロアの共振がやや目立って現れる従来からの癖は完全に払拭できていない。
その点、現実的な速度域でよりすっきりしたライド感を示してくれるのは、実はSグレードの方だった。限界域挙動やハードブレーキングなどでのわずかな許さを許容できるなら、価格差を含め、積極的にSを選ぶ理由はあると思う。
スバルBRZ比較表
新型BRZ S(6MT) | マイナーチェンジ前 BRZ S(6MT) |
|
全長☓全幅☓全高(mm) | 4240☓1775☓1320 | 4240☓1775☓1320 |
ホイールベース(mm) | 2570 | 2570 |
エンジン | 水平対向4気筒DOHC | 水平対向4気筒DOHC |
排気量(cc) | 1998 | 1998 |
最高出力(ps/rpm) | 207/7000 | 200/7000 |
最大トルク(kgm/rpm) | 21.6/6400~6800 | 20.9/6400~6600 |
車重(kg) | 1240 | 1230 |
サスペンション | ストラット/ ダブルウィッシュボーン |
ストラット/ ダブルウィッシュボーン |
10モード燃費(km/L) | 11.8 | 12.4 |
価格 | 297万円 | 292万6800円 |
BRZ価格表
グレード名 | 6MT | 6AT |
GT | 331万5600円 | 337万5000円 |
S | 297万円 | 302万9400円 |
R | 267万8400円 | 273万7800円 |
Rカスタマイズパッケージ | 243万円 | - |
RAレーシング | 298万1880円 | - |
GTイエローエディション | 336万9600円 | 342万9000円 |