コンパクト&ジャストサイズFRの歴史は、1963年デビューのホンダS500から始まった。その頃の日本車はFRが当たり前で、その駆動方式に希少性はなかったものの、本格的なスポーツカーというのは貴重な存在だった。
1965年にはトヨタがスポーツ800を発売。以降、70年代に向かって日本人はスポーツカーに夢中になっていく。TE27レビンや初代サバンナ&初代RX7などの名車が続々と登場。80年代はターボの時代だ。910型ブルーバード、ランサーEX、コロナ、カリーナなどのファミリーセダンにターボを積んだFRスポーツが流行。また、2代目RX7やS13シルビアにもターボが搭載されて大人気車となった。
一方でAE86レビン/トレノや初代ロードスターも80年代登場の名車。実にバラエティに富んだ車揃った年代だったといえる。ターボパワーは90年代にも引き継がれ、軽ターボのカプチーノを皮切りに、3代目RX7、S14、S15シルビアなどが登場。また、NAスポーツも充実してきて2代目ロードスター、アルテッツァ、S2000といった力作も現れた。
そして2000年以降から現在までは、車種数こそ減少気味だが、逆に各メーカー入魂の作が登場してきた年代といえる。スポーツカーが売れない時代にコストのかかるFRをあえて作るという姿勢。RX8から3~4代目ロードスター、86/BRZまで、すべてが入魂の作ということに異論はないだろう。こうして振り返ってみると、日本はFRスポーツを大事にしてきたことがよくわかる。
(年表)
○1960年代
1964年:ホンダS600
1965年:トヨタスポーツ800
1968年:マツダファリミアロータリークーペ
1969年:いすゞペレットGTタイプR
○1970年代
1970年:三菱ギャランGTO
1971年:マツダ初代サバンナ(RX-3型)
1972年:トヨタ初代レビン/トレノ(TE27型)
1978年:マツダ初代RX-7(SA22C型)
○1980年代
1980年:日産ブルーバードSSS(910型)
1983年:トヨタレビン/トレノ(AE86型)
1985年:マツダ2代目RX-7(FC3S型)
1989年:マツダ初代ユーノスロードスター(NA型)
○1990年代
1991年:スズキカプチーノ
1991年:マツダ3代目RX-7(FD3S型)
1999年:日産シルビア(S15型)
1999年:ホンダS2000
○2000年以降
2003年:マツダRX-8
2005年:マツダ3代目ロードスター(NC型)
2012年:トヨタ86&スバルBRZ
2015年:マツダ4代目ロードスター(ND型)