まずはセンシング方式について確認する。
3つに大別されるセンシング方式
赤外線レーザー方式
家電リモコンなどでよく使われている、指向性の強い赤外線レーザーを照射して、その反射してきたものを検知する。
ただし、照射できる距離が10m程度と短く、検知できるエリアも小さい。検知は対物のみで、作動速度は30km/hが上限。コストが安く軽自動車などに多く採用されている。
ミリ波レーダー方式
ミリ波と言われる電波を照射し、その戻ってきた電波を測定することで障害物を検知する。100m以上先の障害物が認識可能なため、高速域でも自動ブレーキは使用可能になる。
また悪天候などにも左右されることが少ないという強みがある。ACCも使用可能だが、歩行者は感知することができない。
カメラ方式
カメラが1つの場合は「単眼カメラ」、2つの場合は「ステレオカメラ」と呼ばれる。取り込んだ映像を解析することで、障害物や白線だけでなく、歩行者や自転車などまで認識することができる。
ただし、人間の目と同じように、悪天候時やヘッドライトの照射エリア以外は検知できないという弱点もある。
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各社自動ブレーキシステムの評価
各社を代表する自動ブレーキシステムを一つ選出し評価した。専門用語はこの記事の一番下にまとめたので、そこを参考にしてほしい。
トヨタプリウスの場合
セーフティセンスP:単眼カメラ(デンソー)+ミリ波レーダー(デンソー)
- 対人検知自律自動ブレーキ
- LDW
- AHB
- ACCがセットになった先進安全技術。
警告ブザーの音量や音質は適切で警告ディスプレイの表示面積も大きい。ボトムグレードの「E」(2,429,018円にも86400円)にも86,400円でメーカーオプションとして装着できる点も素晴らしい。
日産セレナの場合
エマージェンシーブレーキ:単眼カメラ(モービルアイ社)
数ある日産の先進安全技術のうち、対人検知自律自動ブレーキの事。単眼光学式カメラのみで前走車だけでなく歩行者も検知する。
作動範囲は、対車両で約10~80km/h、対人では上限60km/h。衝突回避性能を示す公称値は30km/h以下だが、実力はもう少し上か?
ホンダフリードの場合
ホンダセンシング:単眼カメラ(非公開)+ミリ波レーダー(非公開)
- 対人検知自律自動ブレーキ
- LDW
- LKS
- ACC
- 誤発進抑制
- 先行車発進検知
- 標識認識
- 歩行者事故低減ステアリングがセットになった先進安全技術。
ホンダ独創の技術は8。歩道にいる歩行者を認識した場合それを避けるためステアリング操作を補助。
マツダアクセラの場合
i-ACTIVSENSE:単眼カメラ(モービルアイ社)+ミリ波レーダー(非公開)
従来からのセンサーフュージョン方式を進化。セレナと同じくモービルアイ社の光学式単眼カメラで「アドバンストSCBS」を作動させ低速域の対車両と対人を検知。また、ミリ波レーダーとの組み合わせでより高い車速域でも機能する「SBS」を作動させる。
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スバルインプレッサの場合
アイサイトver3:ステレオカメラ(日立オートモティブシステムズ)
複眼光学式カメラで数々の先進安全技術を機能させる。自律自動ブレーキは車速に関わらず作動は安定。オプションのアドバンスドセーフティパッケージではミリ波レーダーによる後側方車両検知機能などがつく。
スズキスペーシアの場合
デュアルカメラブレーキサポート:ステレオカメラ(日立オートモティブシステムズ)
CPNシナリオでは50km/hまでならばほぼ衝突が回避できており、60km/hでも致死率が極端に向上する衝突速度30km/hをわずかに下回る4結果を残す。
一方、CPNOシナリオでの衝突回避は30km/hが限界だが、将来的にはプログラム向上変更が期待できる。
ダイハツタントの場合
スマートアシストⅢ:ステレオカメラ(デンソー)
複眼光学式カメラを採用し確実な歩行者検知を目指した。ただし、カメラは左右ほぼ隣り合わせにある設置されており、スバルやスズキのステレオカメラのように遠くまでの複眼立体視は物理的に期待できない。自律自動ブレーキの作動領域は約4~80(対歩行者は50km/h。
三菱アウトランダーPHEVの場合
e-Assist:単眼カメラ(非公開)+ミリ波レーダー(非公表)
- 自律自動ブレーキ
- LDW
- ACC
- 誤発進抑制がセットになった先進安全技術。
自律自動ブレーキに対人検知はない。停止車両に向かうCCRsシナリオ・AEBでは20km/hまで、警報ブザー後に一定の踏力でブレーキを踏む同FCWではほぼ30km/hをクリア。
【用語解説】
- LDW=車線逸脱警報
- LKS=車線逸脱防止支援システム
- AHB=オートマチックハイビーム
- アドバンストSCBS=アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート
- CPN=遮蔽物なしで歩行者が横断
- CPNO=駐車車両の陰から歩行者が横断
- AEB=緊急自動ブレーキシステム
- FCW=前方車両衝突警報