ルーテシア(欧州名クリオ)は、ルノーの主力モデルである。名車5(サンク)の後継モデルとして、累計生産台数は1200万台を突破。3気筒モデルは、ベーシック仕様のゼンに5速MTとの組み合わせで設定されている。
ルーテシアの魅力は個性的なデザインにある。大きな瞳の小動物を連想させるフロントマスクに始まり、ボディサイドの大胆なラインやモールディングなど、すべてが印象的な造形でまとめられている。フランス車らしいおしゃれなイメージが漂い、気に入れば「これしかない」という選択肢になってくる。実用車だからこそ、デザインの個性は重要だ。
ボディサイズは全長☓全幅☓全高4095☓1750☓1445mmとのびやかで、広い室内と使い勝手のいい荷室スペースはルノーらしい。実用車にとって重要なパッケージングの点でも素晴らしい。
3気筒ターボのゼンの排気量は0.9L。90ps/5250rpmの最高出力と、13.8kgm/2500rpmの最大トルクを発揮する。5速MT仕様は、フランスで最も売れているグレードである。スタイリングと走りの面で、フレンチベーシックの味わいを堪能するのに最適の存在といえる。
大型サイズのシートに体を預け、エンジンをかけた。アイドリングは、さほどうるさくない。マニュアルミッションのストロークは長めの設定。操作は扱いやすく、クラッチペダルの反力も適切である。
発進は、長らくMTにのっていないユーザーでもスムーズにこなせるだろう。右足にわずかに力を込めながら左足をクラッチペダルからさっと引き上げれば、スルスル~と走りだす。加速は軽快。アイドリング付近のごく低回転域のトルクは、排気量相応で太いとは言えない。しかし1500rpmも回せば、ターボパワーを生かした走りが楽しめる。4000rpmを超えると吹き上がりは勢いづき、実に気持ちがいい。そしてなかなか速い。30分も運転していると、素晴らしく気持よく過ごしていることに気づく。そしていい車だと実感する。
マニュアルシフトの3ペダルモデルの場合、アクセルやシフト操作と、車の走りがうまく連動するかどうかが、印象を左右する。ゼンには思い通りに動かしているという実感がある。3気筒ユニットは意外にも粘り強く、早めにシフトアップする走り方に対応する一方、高回転域まで積極的に使うスポーティな走りも似合う。デザインから走りまで、すべてに一貫性がある。個性的な実用車の優れた一例である。
主要諸元
グレード | ぜン(0.9L) |
全長☓全幅☓全高(mm) | 4095☓1750☓1445 |
ホイールベース(mm) | 2600 |
トレッド(mm) | F1505☓R1505 |
車重(kg) | 1130 |
エンジン(プレミアム仕様) | 897cc直3DOHC12Vターボ |
最高出力((kW(ps))/rpm) | 66(90)/5250 |
最大トルク(Nm(kgm)/rpm | 135(13.8)/2500 |
JC08モード燃費(km/L) | 未公開(燃料タンク容量45L) |
サスペンション | Fストラット/Rトレーリングアーム |
ブレーキ | Fベンチレーテッドディスク/Rドラム |
タイヤ&ホイール | 195/55R16+アルミ |
駆動方式 | FF |
乗車定員(名) | 5 |
最小回転半径(m) | 未公開 |
価格 | 5MT 208万円(ハンドル位置:右) |