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トヨタ、BMW提携の第一弾スポーツモデル スープラ

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12年6月29日、衝撃的な会見から早くも4年が経とうとしている。衝撃的な会見というのはトヨタ自動車の豊田章男社長とBMWのノルベルト・ライトホーファー会長との提携会見のことだ。実際には提携が発表され、その会見では広範囲にわたる協業が発表されたわけだが、4年の月日は、遅いようにも見えるし、早いようにも見える。

すでにトヨタへのBMW製ディーゼルエンジンの供給が始まり、昨年にはBMW5シリーズの燃料電池車のプロトタイプが実走行テストを行った。

会見で明らかにされたなかで残されているのは「スポーツカーの共同開発」と「軽量化技術の共同研究」。その2つは同時に解決されることになるだろうが、今回、トヨタのミドルサイズスポーツ、次期スープラの市販車情報を入手した。

デビューは18年秋。すでに開発にGO

まずは、そのデザインだ。14年のデトロイトショーで公開されたスポーツカーコンセプト、FT-1によく似ているのが分かる。FT-1はトヨタの北米スタジオ、CALTYのデザインで、アレックス・シェン氏が担当責任者と言われている。

一時の情報では、FT-1とは全く別デザインで開発するとしていたが、市販車向けの確定デザイン情報を照らし合わせると、FT-1のデザインが最も近い。特にヘッドライト形状やノーズのラインなどがFT-1をデザインモチーフとしていることがわかるが、ボディサイドやリア回りは別。リア回りは市販デザインの場合、FT-1よりもシンプルなことが予想される。

サイズ情報によると、全長が4380mm、全幅が1860mm、全高1230mm、ホイールベースが2480mm。予想より相当コンパクトなサイズとなるが、FT-1は全長4500mm、全幅1830mm、全高が1250mmと比べるとやや長いことがわかる。

サイズ感としては、07年に登場したスープラ後継車的なイメージが強かったハイブリッドスポーツコンセプト、FT-HSの方が近い。FT-HSは全長が4325mm、全幅が1830mm、全高が1290mmなので、全高がFT-RSの方が60mmほど高いだけでほぼ同等だ。

このサイズに落ち着いたのはプラットフォームを次期BMW Z4と共用することにある。過去のZ3から発展した経緯を考えると、次期Z4はZ5と名前を変更する可能性が高いが、このZ5は最新情報によれば、全長4400mm前後、全幅1840mm、全高が1340mmと言われている。次のZ5の全長が長いのはZ5が直列6気筒を積むのに対し、スープラはV6エンジンを積むためと言われている。

ここ最近までエンジンもBMW製と言われていたが、ここに来て新しい動きがあり、トヨタは自社エンジンで行くことを最終的に決断したという。3月下旬、トヨタのディディエ・ルロワ副社長がインタビューに答え、BMWとの協業はすべてうまく進んでいて、スポーツモデルもあとは開始時期を決めるだけ、と語っている。

つまり、トヨタにとって、エンジンの最終決断をしたということで、これにより、BMWはこれまで同様Z5用のユニットで開発し、トヨタはスープラにV6エンジンを用意することになったわけだ。少なくともデザインだけでなく、エンジンもトヨタブランドを死守するということに決まった。

パワーは200ps、255ps、340ps

その新型スープラに設定されるエンジンについても今回新たに情報を入手している。エンジンはまずは2種類。現在クラウンやレクサスISに搭載されている直列4気筒、2Lターボがチューニング別で2タイプ、そして、次期LS、GSに採用される新開発の943Fと呼ばれるV6、3Lターボが1種となる展開。このうち8AR-FTSは200psと255psの2タイプで3Lターボが340ps仕様となる予定という。

当面ハイブリッドはなく、ダウンサイジングターボ2機種となり、ベースモデルが200ps、メインモデルが255ps、トップモデルが340psということになるが、この数値には理由がある。

このエンジンパフォーマンスは次期Z5のエンジンと同程度の出力となっている。Z5は次期BMW3シリーズのプラットフォーム/パワートレーンを使うが、現行のZ4と同等のエンジンを使うといわれ、直列4気筒の2Lターボは184psと本国仕様にある245psが有力。これを多少パワーアップすれば次期スープラと同じような数値になる。

同じように340ps仕様はBMW伝統の直列6気筒の3Lターボベースで、これも現在は、2種類の仕様があるが、ハイパワーバージョンは340psとトヨタのV6、3Lターボと同じ数値。

すなわち、Z5とスープラのパワーを揃えることで開発スピードを早めることができるというわけだ。BMW Z5のデビューは来年、それに対し、スープラは18年の登場予定だ。エンジンパワーがほぼ共通なら、Z5のチューニングとそれほど大きく変更することなく開発できるメリットがある。パワートレイン系の強度も合わせることができ、共通部品によりコストを下げられる。

ただ、以前にもレポートしたが、スープラはクーペ、Z5はオープンとしてすみ分を図るため、スープラの方がウェイトは多少重くなるということだ。それでも新型3シリーズのプラットフォームをベースに、炭素繊維を多用する軽量なシャシーにより、重量は1350kg以内に収められ、燃費もJC08モードで2Lターボは15km/L、3Lターボでも13km/L程度と、スポーツモデルとしては相当向上することになる。

新たな情報として注目できるのはミッションで、アイシンではなく、ZFの8速ATが選ばれることで、新しいスープラにはATモデルしか用意されない。

この新型スープラだが、来年の東京モーターショーか、18年1月のデトロイトショーで公開され、市販は18年秋頃になるという。価格はベースの2Lターボが500万~600万円、そして3Lターボが800万円程度か。

3Lターボエンジン比較表

新型スープラ Z4 新型スカイラインクーペ
型式 V型6気筒 直列6気筒 V型6気筒
排気量(cc) 3000 2979 2997
最高出力(ps) 340 340 405
最大トルク(kgm) 45.0 45.8 48.4

新型スープラ予想スペック

2Lターボ 3Lターボ
全長☓全幅☓全高(mm) 4380☓1860☓1300 4380☓1860☓1300
ホイールベース(mm) 2480 2480
エンジン 8AR-FTS直4ターボ 新開発V6ターボ
排気量(cc) 1998 3000
最高出力(ps/rpm) 200/5000 340/5800
最大トルク(kgm/rpm) 27.0/1250 45.0/1500
JC08モード燃費(km/L) 15.0 13.0
価格 500万円 800万円

 

 

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