アウディはメルセデスやBMWと並ぶドイツを代表するプレミアムブランドである。アウディが3気筒エンジン搭載モデルをラインアップするとは、ほんの数年前までは誰も想像できなかった。しかし時代の要請に積極的にこたえる開発姿勢はプレミアムブランドの使命である。A1に高効率で環境に優しい3気筒モデルが誕生した。
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高い実力。エントリーグレード
A1シリーズの3ドアとスポーツバッグ(5ドア)に設定された1.0TFSIグレードがそのモデルである。搭載された999ccという排気量は、新開発3気筒ユニット。ボア✕ストローク値比などから推察するに、VW・up!用エンジンをベースに、直噴ターボ化したパワーパックだ。既存の1.4L直4ユニットをベースに、ストロークを3.6mm縮め、1気筒をカットしたとも言える。
アウディ史上で初めての3気筒エンジン、の最高出力は95ps、最大トルクは16.3kgm。1.4Lユニットの最高出力は150psだから、数字上の差は大きい。JC08モード燃費は1.4Lが21.9km/L、1Lが22.9km/L。トランスミッションはツインクラッチ方式の7速Sトロニックである。
試乗車は3ドア。ドライブしてパワーのゆとりに驚いた。街乗りシーンでは、1.4Lモデルとの差を実感させられる場面は少ない。シリンダー数が4から3に減少し、エンジンのフリクションが低減された利点が実感できる。とくに低回転域が中心になる日常シーンでの走りの力強さは印象的だ。実に生き生きとしており、スピードのノリがいい。しかもトルクに余裕がある。それを証明するように車速が高まるにつれ7速DCTは予想よりも早いタイミングで、次々と高いギアへとシフトアップしていく。
交通の流れに乗る程度であれば、タコメーターの針が2000rpmより上を指すケースはまれだ。回転数が上がらないので、静粛性が高い。これにも驚いた。5000rpmから上の領域ではさすがに3気筒ユニット特有のサウンドが耳に届く。だが、現実の常用域は、それよりもはるかに下のゾーンになる。日常的には、静かに気持ちよく走り回れる。
なお、100km/hクルージング時のエンジン回転数は2000rpmほど。1L車としては非常に低い。16.3kgmの最大トルク値は1500rpmで発生し、そのまま3500rpmまで持続する。高速クルージング時にアクセルペダルを踏み加えると、即座に加速態勢へと移る。パフォーマンスは一級品だ。街乗りから高速ドライブまで幅広い走行シーンで高い満足が得られる。
「走行中は気にならなくてもやはりアイドリング振動が心配になる」という危惧を抱くユーザーがいるかもしれない。その点でも不満はない。スタートストップ(アイドリングストップ)システムが作動するので基本的にはアイドリングそのものがないし、アイドリング状態が維持される状態でも、振動やノイズはまったく気にならない。乗り心地、ハンドリングともに足回りはスムーズにストロークし、ステアリングの反応は素直。走りはプレミアムモデルとして満足できる。内外装の作りも丁寧である。
だが、プライスタグはそれなりに高価だ。車両本体価格は249万円。試乗車のようにナビやキセノンライトなどのオプションを装備すると300万円オーバーする。なお自動ブレーキなどのドライバーアシストシステム、クルーズコントロールやパドルシフトは未設定である。A1の3気筒モデルの実力は高い。コストパフォーマンスが引き上げられれば、小さな高級車として、上級モデルから乗り換えるユーザーが増えるに違いない。
アウディA1 1.0TFSI 主要諸元
グレード | 1.0TFSI |
全長☓全幅☓全高(mm) | 3985☓1740☓1425 |
ホイールベース(mm) | 2465 |
トレッド(mm) | F1475☓R1470 |
車重(kg) | 1120 |
エンジン(プレミアム仕様) | 999cc直3DOHC12Vターボ |
最高出力((kW(ps))/rpm) | 70(95)/5000-5500 |
最大トルク(Nm(kgm)/rpm | 160(16.3)/1500-3500 |
JC08モード燃費(km/L) | 22.9(燃料タンク容量45L) |
サスペンション | Fストラット/Rトーションビーム |
ブレーキ | Fベンチレーテッドディスク/Rディスク |
タイヤ&ホイール | 185/60R15+アルミ |
駆動方式 | FF |
乗車定員(名) | 4 |
最小回転半径(m) | 5.0 |
価格 | 7SMT 249万円(ハンドル位置:右) |