3列シートの小型ミニバン、新型シエンタはスタイリングからメカニズムまでフルモデルチェンジを実施。スタイリングはアールヌーボー的な曲線美が話題である。
【広告】
走るアールヌーボー
シエンタが12年ぶりにモデルチェンジした。新型のエクステリアデザインは、個性的である。モチーフはトレッキングシューズといい、フロントとリアにプロジェクターを思わせるガーニッシュを入れている。一方サイドウインドウやスライドドアのラインは、ラウンディッシュにまとめた。シエンタにミニバン=箱のイメージは無い。斬新なデザインは、ターゲットユーザーを一世代若く設定したからだ。
発売後、約1ヶ月間の受注実績は、月間目標7000台の7倍、4万9千台を記録。新型のイメージ変更は大成功と言える。外観同様、曲線を多用したインテリアは中央にあったメーターが運転席前に移された。メーターは高めの遠くに配置されるタイプだから、運転中の視線移動は少なくてすむ。
スライドドアからアクセスする2列目シートは、フラットなフロアを持ち、シートのスライド位置を最後方にセットすれば、身長170センチのパッセンジャーが足を組めるほど広いスペースが生まれる。最も前にスライドさせれば、3列目シートにも身長170cmの乗員が足元と頭上に余裕を残して座れる。3列目シートは補助的だった旧型とくらべると、シート自体の快適性もスペース性も大幅に改善された。
全長を115mm、ホイールベースは50mm伸ばした効果である。そして着座位置を高く設定し、格納方法をふくめてシートの作りをゼロから見直したことがプラスをもたらしている。新型シエンタの室内は、広く使い勝手にすぐれている。
パワートレーンのニュースはハイブリッド車の設定である。ハイブリッド仕様は、アクアと基本的に同じ1.5Lエンジン+モーターを積む。ただし、車両重量はアクアより約300kg重い1380kg。1名乗車時は走りに余裕があったが、大人3名乗車でベースを上げると、エンジンは回し気味になった。パフォーマンスは満足できるが、モーターが主役というイメージは薄い。
乗り心地はしっとりとしていてフラット感が高い。長距離ドライブを楽にこなせる。コーナーでのロールは抑えられていて、ステアリングをとおして接地感をしっかりつたえてくるので安心できる。ハイブリッド車は、バッテリーを床下に薄く積んだことが低重心と前後バランス適正化に貢献している。素直な身のこなしが堪能出来た。新型シエンタの完成度は高い。多くのユーザーに勧められるコンパクトミニバンである。